■真空管アンプはプリメインが使いやすい
真空管アンプキットと言えば、高価、配線が面倒、重いデカイなどネガティブな面が頭をよぎるが、オーディオファンなら一度は聴いてみたいとも思うはずだ。私も以前、真空管アンプを作ったことがある。キットではなくフルディスクリートで、ケースだけはショップオリジナルを使い、回路図から実体配線図を起こして、パーツを集めて組み立てた。整流管整流がいいと言われ、トランスはピアレス、真空管はオリジナルのWE300Bのペア管を使い、無帰還、自己バイアス、クラスA、抵抗やコンデンサーは凝りに凝って、真空管プリアンプを入手して、真空管に適したスピーカーを探すところで息切れした。
この時の反省点は、300Bありきが良くなかった。やはり、スピーカーあってのアンプである。そう考えるとハイレゾレコパルで作ったデスクトップ用のフルレンジ一発の小型スピーカーは、大音量を出す必要がないため真空管アンプ向きである。ニアフィールドなのでなめらかな音の方が聴き疲れしないし、入力切り替えも必要ない。欲を言えば音量調整ができて、ヘッドホンアンプ内蔵、デスクトップに置けるサイズがいい。真空管らしい音を狙うならMT管よりGT管、ST管の方がいい。プッシュプルよりもシングル、三極管接続で無帰還ということろだろか。
これだけ好き勝手な事を言って、条件にほぼ当てはまる真空管アンプキットがELEKIT『TU-8150』(4万8600円税込)である。まず幅210×高さ122.5×奥行き252mm、約3.5kgとデスクトップに置けるサイズ。オペアンプを使ったプリアンプを搭載してボリュームもある。ヘッドホン端子装備、そして真空管ソケット付きのサブ基板を交換して、MT管の6AQ5をGT管の6V6に変更できるのだ。GT管は別売だが、ロシア製なら格安で入手できる。さらに基板のみのキットなのでリード線のハンダ付けは一切不要で完成できる。もし完成後に音が出なければ「エレキットドクター」に点検・手直し、調整を有償で依頼できる。
■製作時間は4時間11分52秒
それでは、ELEKIT『TU-8150』の製作難易度はどのぐらいなのか? とにかく部品を基板に挿してハンダ付けするだけなので、初心者でも心配ないレベルである。説明書と基板にも部品名や抵抗値、コンデンサーの向き、などが印刷されているので間違える可能性は低い。私は日曜日の午前中からスタートして昼食を挟んで午後には完成した。製作時間は4時間11分52秒。ここにはパーツリストと部品の照合、そして記事用の写真撮影の時間も含まれるので、実際はもう少し早いと思う。別に早く作る必要はないので、ハンダ付けを楽しみながら、じっくり作られることをオススメする。ただし、数日間にわたって作る場合は、部品を広げたまま置ける場所を確保した方がいい。細かい部品は分別してフタのできるケースにしまった方が安心だ。