雲ひとつなく晴れ渡る日曜日。早朝の明治神宮は、清々しい空気に満ちている。
まだ肌寒い午前7時過ぎから、弓矢を手にした人々が続々と「至誠館中央道場第二弓道場」に集まってくる。
これまで積み重ねてきた稽古の成果を昇段審査で発揮するべく、500人を超える男女が道場に結集した。
開会式に範士や教士、錬士など称号者の審査員が勢揃いしたところで、神棚に向かって全員で一斉に神前礼拝を行うさまは壮観だ。
審査に移る前に、最高位の射手による「矢渡し」の儀式が執り行われる。安土の中央に一つだけ置かれた的に、二人の介添えを従えた射手が一手(ひとて:2本の矢)を射る。その日の審査や射会の成功と無事故を祈願し矢を通す儀式だが、見事な作法と射法で、これから受審する500人にお手本を示すかのようだ。