■接続方式で驚くほど音質は変わった
実際に接続方式によって音質はどう変わるのだろうか。現在、使用中のスピーカーはデスクトップ用なので出力は1Wもあれば充分である。従って出力が小さいという弱点は無視できる。
●三極管接続の特徴
増幅率が小さいので出力が出せない。
内部抵抗が低くドライブ能力が高い。
3次高調波が少なく特性がいい。
●五極管接続の特徴
増幅率が大きく大出力が得られる。
内部抵抗が高く出力トランスで歪みが出やすい。
3次高調波が出やすく出力を上げると歪みが増える。
『TU-8150』の出力は、五極管接続2.9W+2.9W、三極管接続1.6W+1.6W、UL接続2.9W+2.9Wである。出力的には三極管接続でも不満はない。早速、接続方法を変更して比較試聴してみよう。最初はUL接続である。Mac miniのハイレゾ音源をリファレンスDACに接続、ライン出力をRCAピンケーブルでアンプに送り出している。スピーカーはフロントロードホーンキットDigiFi『DF19 Front Load Horn』である。Yuji Ohno & Lupintic Five with Friends「BUONO!! BUONO!!/THEME FROM LUPIN III 2015〜ITALIAN BLUE ver」(48kHz/24bit)をスピーカーで聴くと、ウォームな音色で、全体的にナローレンジ、中低域に寄りのバランスで高域が丸い感じだ。音像定位はボーカルが大きくなってやや曖昧になる。音量を上げると中域が歪みっぽい。これは今まで接続していたリファレンスパワーアンプと比較した感想なので、かなりシビアなものになっている。
手嶌葵「I Love Cinemas -Premium Edition-/Calling You」(96kHz/24bit)では、真空管アンプらしい独特の響きが乗った音色になり、これはこれで心地よい。五極管接続にすると、音色はさらにウォームで厚みがあって、こってりとした油絵のようだ。高域は相変わらず伸びないが、音場には奥行きが出てきた。女性ボーカルよりも小編成のジャズ、LUPIN III 2015のウッドベースの響きが心地よい。これが三極管接続では、一聴して歪みが少なくなる。音の輪郭がクッキリして音像定位が向上する。高域もクリアーで透明感が感じられる。一般的に言われているように音質面では三極管接続が最も好ましいと思った。しかし、ポタ研で手作り真空管ポータブルアンプを試聴したときは五極管接続の方がよく聞こえたので、全ての場合で三極管接続がいいとは言い切れない。『TU-8150』の場合は音量不足でない限り三極管接続がオススメである。