■少数派のDAC内蔵プリメインアンプに注目する
オーディオのコンポはどんどん分離する傾向にある。そもそもコンポーネントの意味が部品、構成要素であるからして、プリアンプ、パワーアンプ、DACと分かれていくのは仕方がないことだ。しかし、どんな物事にもメリットとデメリットがあるわけで、特にDACについては意見が分かれている。ハイエンドの世界でもクロックとDACをセパレート化した方がいいのか、一体型にして最短距離にした方がいいのかはメーカーによって結論が異なる。アナログプレーヤーがなくなり、DACのデジタルボリュームの高性能化が進むと、プリアンプの存在意義も薄れてくる。DAC内蔵デジタルプリアンプ+パワーアンプという考え方もある。また、スピーカー直前までフルデジタル伝送とか。従来はDACは進化が早いので独立させて他のコンポには内蔵しないという考え方が主流だったが、Technicsは単体DACを作らないというシステム構成を選択した。TEACもDAC内蔵プリメインアンプを作り続けいているメーカーだ。それどころかプリメンアンプに加えてネットワークプレーヤー機能とCDプレーヤーを内蔵した『NR-7CD』まで製品化している。確かに使う方からすればオールインワン型の方が便利である。集約することで音質的にもメリットがあるならさらに文句なしだ。
TEAC『AI-503』はDACからプリメインアンプを一体化することで、デュアルモノーラル構成を貫いている。デュアルモノはLRの増幅回路を筐体内部で物理的に分離したものである。本機はさらにフルバランス設計を採用してDACでアナログになった信号をLRのホットとコールドの合計4回路で可変ゲインアンプ型ボリュームまで伝送させている。これにより、S/N感がよく音場感にすぐれた音を実現しているのだ。