東武鉄道で約58年ぶりにSL(蒸気機関車)が復活したのをご存じでしょうか? C11というSLを使った復活運転プロジェクトによりSL「大樹」が走り出しました。筆者は残念なことにSLの現役時代は知らないのです。だから、食わず嫌いのため、SLは古くさくて格好悪いと思っていました。しかし、時が経ちSLのアナログな魅力がわかるようになりました。
たとえば、2000年代生まれの10代にとってSLは基本、過去の産物でしかないでしょう。ただし、YouTubeなどのおかげで、誰でも昭和の映像が簡単に見られるし、鉄道好きならすでにSLの実車体験をしている人も多いでしょう。そして、走り始めるSL「大樹」でSL体験をする人もいるはずです。
もし鉄道好きじゃなくてもSLって、生き物のようで美しいと感じることができると思うので、よかったら一度乗ってみて下さい。
SLに魅力を感じる美意識があるなら、次に注目してもらいたいのが「デッキ付き電気機関車」です。10代ならもちろん、走っている姿を見た人はほとんど居ないでしょうが、むき出しの金属の質感、古くなり錆びた感じ、そのビンテージなデザインテイストはアメリカンな雰囲気もあり、相当な美形男子なのですよ! なので、かなりの勢いでインスタ映えする写真が撮れると思います。
デッキ付き電機機関車は旧型電気機関車と呼ばれることもあります。とにかく、古い乗り物なんです。なぜデッキがピョコンと飛び出ているかというと、動輪(モーターで動かす車輪)の前後に「先輪」という小さな車輪を1軸もしくは2軸付けて、カーブで曲がりやすいように工夫したためだそう。これは、SL時代の車体設計を手本にしたためで、電気機関車でありながらSLの臭いがどことなく感じられるのにも納得です。
そして、車体からはみ出した部分に台と手すりを付けています。これがデッキなんですが、実は特に役割があったわけではないらしいのです。面白いですね。でも、作業員が乗ったり、保線資材や道具を置いたりして、結果的に役には立っていたようです。
この車体の前後に飛び出した鼻のような、個性的な姿が古臭くてたまらない……そう感じるアナタは、すでに相当、「鉄分」に侵されています(笑)。なので、ビンテージ臭プンプンな美形電気機関車が多数保管されている「碓氷峠鉄道文化むら」の展示車両から、デッキ付き電機機関車をご紹介しましょう。さらに鉄分を補給してください。