一時期流行した、ゲーム機を使ったり、ドリル形式で課題を解く脳トレ。後の研究で、その多くは、脳には「まったく効果はなかった」ことが判明している。繰り返しやっても、向上するのは、あくまでもゲームや課題のスキルであって、脳の機能が上向くことにはつながらなかったという。
これをふまえて米国の脳科学者らが生み出したのが、「ニューロビクス」。脳の神経細胞を意味するニューロンとエアロビクスを組み合わせた造語で、ゲーム的な面白さはないものの、日ごろの脳の疲れを解消し、脳の回路を発達させる効果がある。
今回は、日本におけるニューロビクス推進者で、おくむらクリニックの奥村歩院長の著書『脳の老化を99%遅らせる方法』(幻冬舎)に収録されている37つのニューロビクスから、手軽に実行できるものをいくつか紹介したい。
●ストレスや悩みの種を大・中・小にランク付けする
ストレスや悩みを、すぐに解決がつく「小」、手間が多少かかる「中」、じっくり考えて結論を出す必要がある「大」と、3段階にランク付けする習慣をつけておく。
これには、脳が過労すると、悩みの種の解決に優先順位をつけられなくなり、どれも緊急かつ重要に思えてくるという問題を防止する効果がある。ふだんから、ランク付けのクセをつけることで、小さなことに振り回されることがなくなる。
●高所に上がってみる
近くの公共施設の屋上や展望台に上がって、何も考えずに下を見下ろす。心のもやもやが晴れ、悩み事の具体的な解決策や、仕事にかかわるアイデアが閃いたりもする。
これは、見晴らしのよい場所に立つことで、脳の鳥瞰視・客観視の力が高まることによる。何か行き詰まるようなことがあれば、まずは高い所に行ってみよう。