◎栗原類さんが火付け役
タレントの栗原類さんが、自身が発達障害であることをテレビ番組でカミングアウトしてから、急速に関心が高まった発達障害。栗原さんの著書『発達障害の僕が輝ける場所を見つけられた理由』(KADOKAWA)は14万部のベストセラーに。
発達障害とは、知的な遅れがない(アメリカでは知的な遅れも含めて神経発達症とくくるのが最近の傾向)のに、極端に注意力に欠けていたり、衝動的な行動をとったり、対人スキルに問題があったりするなど、能力に極端な偏りのある障害。その特性は、人によりさまざまだ。
ちなみに栗原さんは「自閉症スペクトラム」とよばれる発達障害。人との距離をうまくつかむことができないという特性をもつ。初対面のピース又吉さんに楽屋でかけた第一声が「肩、お揉みしましょうか?」だったのは有名な話。ちなみに又吉さんは「あ、大丈夫です」と答えたという。
◎カラスの鳴き声でパニックに
あまり知られていないが、発達障害は「感覚過敏」を伴うことが多い。日常生活に支障をきたすほど五感のいずれかが敏感すぎるのが感覚過敏だ。光が人一倍眩しく感じられてつらい、シャワーを浴びると針で刺されたように痛い、白いご飯が砂のように感じられるなど、これも人によりさまざま。
発達障害の子を長年教えてきた筑波大学附属大塚特別支援学校の主幹教諭安部(あんべ)博志氏に話を聞いた。安部氏の学校では、カラスの鳴き声でパニックを起こす生徒やスピーカーのハウリング音にトラウマを抱えている生徒もいるという。いずれも聴覚過敏だ。突然、苦手な音が聞こえるのが怖くて外に出ることができずに、そのまま引き込もり状態になることも珍しくないという。
◎発達障害の「困った」は道具で解決する
本人の努力ではどうにも解決できないのが発達障害だ。私たちは、視力が弱っていたらメガネをかけるし、耳が遠くなれば補聴器を使う。それと同じように発達障害の困り感は道具であっさり解決することがある。
「発達障害のための特別な道具ではなく、市販のさまざまなグッズが役に立つのです」と安部氏は話す。安部氏の学校では、カラスの鳴き声でパニックを起こす子はイヤーマフを使っているという。スピーカーの音に耐えられない生徒は運動会などでは自分からイヤーマフを着けてパニックを回避している。
安部氏にさらに、発達障害の「困った」を解決してくれる道具を挙げてもらう。
発達障害用に開発されたわけではないが、音をシャットアウトするので、聴覚過敏の子にもおすすめ。
3MTM(スリーエム)
PELTORTMイヤーマフX1A
価格/オープン
重量/184g
カップ厚/46mm
対象/小学生以上
発売元・問い合わせ/スリーエム ジャパン株式会社 http://www.mmm.co.jp/
※騒音の大きさによっては遮音しきれずに、音が聞こえる場合があります。
騒音をカットしながらも人の会話は聞こえる。アナウンスを聞き逃さずにすむので、電車や飛行機の中で愛用している人もいる。
デジタル耳せん MM100
価格/4,980円 サイズ/W64×H14×D64mm(イヤホン・コードストッパー除く) コード長:85cm(Y型) ※左右のコードの長さが同じです。質量/約33g(電池除く、コードを含む)電源/単4形アルカリ乾電池または単4形エネループ×1本(別売)
発売元・問い合わせ/(株)キングジム http://www.kingjim.co.jp/sp/mm1000/
※すべての騒音が消えるわけではありません。