その最大のものが、「シトロエン・コネクテッドカム」だ。以前にこの連載でも取り上げたが、ドライブレコーダーを応用して、運転中にドライバーがフロントウインドウから見える景色を画像や動画に撮影することができるのだ。もちろん、万が一のトラブルや事故の際にも、自動的に衝撃の前30秒と後60秒の動画を記録する。
撮った画像や動画はその場でスマートフォンやタブレット端末に転送でき、保存も可能だ。実際に行ってみたところ、簡単にキレイな画像と動画を撮影することができた。欲を言えば、画角などが調整できたらうれしいけれども、言い出したらキリがない。
位置情報として、画像や動画には住所が添記されるから記録用として便利に使える。初めて訪れる土地を走っていて、思わぬ絶景や気になるスポットを簡単に撮影できるので、旅の思い出になるし、再訪に役立つ。
ドライブレコーダーを流用すればいいわけだから、そんなに難しいものではない。どうして、今まで他のメーカーは出さなかったのだろうか?“インスタ映え”という言葉が市民権を得ているように、クルマをどう使えばイマ流に楽しむことができるのか?
それを真剣に考えたシトロエンと、考えなかったメーカーの差が現れているのだろう。クルマに限った話ではないけれども、現代では、単に製品を造っただけではユーザー、特に若い人々からの支持は得られない。“その製品を、このように使うと生活が広がります。暮らしに彩りが加えられます”という具体的な提案が伴っていなければ、いくらスペックが優れていても支持は集められない。
そのことをランボルギーニのイベントをリポートした過去の記事でも書いたけれども、超高級車の世界だけの話ではなく、台数をたくさん売るコンパクトカーでも事情は変わらない。『C3』の魅力は、それを明確に物語っていた。運転ビギナーにも、ベテランにも勧めたくなる一台だ。
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文/金子浩久
モータリングライター。1961年東京生まれ。新車試乗にモーターショー、クルマ紀行にと地球狭しと駆け巡っている。取材モットーは“説明よりも解釈を”。最新刊に『ユーラシア横断1万5000キロ』。
■連載/金子浩久のEクルマ、Aクルマ
※記事内のデータ等については取材時のものです。