字の美しさだけでその人の印象はガラッと変わるもの。そこで、最近よく聞く「美文字」のポイントを書家・カリグラフィーデザイナーの中塚翠涛先生に伺った。さらに、誰でも簡単に美しい文字が書けるようになると人気の「美文字文具」も編集部が実際に試してみました!
冠婚葬祭時やお礼状を書く時、「もっと字が上手だったら……」と感じることはないだろうか。今、手書きのよさが見直され、あて名やメッセージを手書きする人が増えているという。ビジネスシーンにも役立つ印象的な“美文字”を書くポイントはいかなるものか。美文字にはお手本がなく、書き手の個性そのもの、というのは、書家の中塚翠涛さん。
「人の書く文字にはたくさんのクセや個性があります。お手本どおりに書かれた文字は、“字が上手ですね”とは言われるかもしれませんが、印象に残る文字とは限りません。相手のことを思って心を込めて書いた文字には自分自身が表われますし、誠実な思いも相手に伝わるものですよ」
そうはいっても、もう少しうまい字をすぐに書きたいところ。
「では、まずゆっくりていねいに書いてみましょう。急いで書く時でも、文字の濁点や半濁点など細かいところこそていねいに。それだけでも違いが出ます。さらに、トメとハライを意識して書くと、いっそう誠実さが強調されます」
試してみると確かに、焦って急いで書いたという印象がなくなるから不思議だ。
「次に、一文字ずつではなく、文節ごと、文章ごとを意識してリズム感よく書くと流れがしなやかになり、読みやすく美しく見えます。この時、漢字よりかなを小さめに書くと、メリハリがついて全体のバランスが整います」
縦書きは文字同士の中心を揃え、横書きは下揃えを意識するのがコツ。日本語は、縦書きのほうが流れをつけやすいとも。