新大阪21時23分発の最終「のぞみ64号」は日中時間帯の「のぞみ」に比べてスピードアップされているのが特徴である。これは前に走っている新幹線が少ない(特に通過駅での追い抜きが少ない)こともあり、最高速度285キロで運転されるからである。新横浜駅まで2時間4分(23時27分着)、品川駅まで2時間15分(23時38分着)、東京駅まで2時間23分(23時45分着)で到着してしまう。ほかの「のぞみ」に比べて10分以上もスピードアップが図られており、首都圏の3駅に到着してから多くの人が自宅へ戻れるダイヤになっている。
注意が必要なのは、最終「のぞみ64号」は思っている以上に混んでいることが多い。筆者自身も何度も利用しているのだが、空いていたことはほとんどない。最終ということで、新大阪駅だけでなく、京都駅や名古屋駅から乗車する人も多いことから、日によっては普通車指定席が満席の日もある。ただし、グリーン車であればお盆や年末年始の繁忙期などを除けば、ほぼ満席になることはない。
前日や当日に予約する場合、指定席自体が空いている場合でも、窓側や通路側が取れないことも珍しくない。特に「のぞみ」の指定席においては窓側席には電源コンセントが付いているので人気があり、予約できないことも多い。だが、東海道新幹線はネット予約「エクスプレス予約」を活用している人も多く、一部の割引チケットを除いては発車直前まで変更できることから、一旦最終列車を予約した人が直前で前倒しすることも多く、夕方以降になると窓側席に空席が出ることも珍しくない。
JR東海のエクスプレスカード「EX-ICサービス」での乗車時に改札機から発行される「ICご利用票」
最終の「のぞみ」は飲み会を終えてから乗車する人、仕事を終えて乗車してから車内でビールを飲む人、また車内でもノートパソコンをしている人がなどさまざまな人が乗っている。寝ている人も多かったが、途中の新横浜駅や品川駅で降りる人はくれぐれも寝過ごさないように気をつけよう。
取材・文/鳥海高太朗
航空・旅行アナリスト、帝京大学航空宇宙工学科非常勤講師、ANA「What’s up? ANA」社外編集者。文化放送「オトナカレッジ」金曜日(月2回)に出演中。
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