ハイレゾプレーヤーで流行の兆しを見せるバランス接続、ヘッドホンアンプではまだまだ高嶺の花と思っていたら、雑誌の付録にバランス駆動ヘッドホンアンプが付属するという。その実力のほどは?
■本格的なバランス駆動への道
ちまたではバランス接続なのか、バランス駆動なのかが問題になっている。バランス接続だけでいいなら、ヘッドホンに接続する時にグランドを分離すればいいのだ。スピーカーを接続する場合、LRで4本のケーブルを使う。しかし、ヘッドホンの場合は3pin端子である。その理由はLRのグランドをまとめているからだ。ヘッドホンのケーブルは細い方が使いやすいから、グランドは共通でいいんじゃないという理由からまとめられたのだが、音質的には分離の方が望ましい。実はヘッドホンの中にはグランド分離方式を採用したモデルも存在する。例えばAKGはグランド分離なのでヘッドフォン端子を4pinに交換するだけで、バランス接続対応に改造できるのだ。
それではバランス駆動とは何か? これはアンプが側の問題でLRで分離したグランド側にホット側と逆相の信号を送り込んでドライバーを動かす方式なのだ。この方式のメリットは、もし信号にノイズが乗った場合、正相と逆相の信号が合計されたときにノイズだけが打ち消されるというノイズキャンセリング効果が得られることだ。そのために録音現場やライブ会場でケーブルを長く引き回すプロ機器はバランスケーブルを採用している。聴感上はS/N感がよく音場感に優れ、繊細な音が再生されるのだが、バランス駆動を実現するには、通常の2倍のアンプが必要になる。つまりステレオで4ch分のアンプを使うので、バランス駆動ヘッドホンアンプは大きく、重く、高価になる。
■まずバランス駆動ヘッドフォンアンプの基板を入手!
ではどうすればお手軽にバランス駆動ヘッドホンアンプを入手できるのか、順を追って説明しよう。まず「DigiFi No.22」を購入する。これに付属するのが「バランス駆動対応ヘッドフォンアンプ」なのだ。よく見ると対応と書いてある。その心は対応はしてるけど、バランス駆動用のオペアンプは自分で用意してね、という意味だ。それからヘッドホンアンプと言っても裸の基板で、最低限、電源とボリュームのツマミが必要になる。
まあ、いろいろ足りないところはあるけど、音には妥協しないという姿勢なのだ。その証拠にアンプの設計は卵型スピーカーで、お馴染みのOlasonicが担当、アンバランス用のオペアンプはBarBrown「OPA2134PA」が採用されている。バランス駆動専用にするなら、これと同じオペアンプを1個プラスするだけなので数百円の出費で済む。
整理すると「バランス駆動対応ヘッドフォンアンプ」は素の状態では3.5mm3pinライン入力、またはRCAピン端子の可変入力で3.5mm3pinアンバランス出力が使える5V電源で動く据え置き型ヘッドホンアンプの基板である。バランス駆動用のオペアンプを2個追加すると、XLR3pin×2のバランス出力に対応する。つまり出力はバランスだが、入力はアンバランスのみで、RCAピン端子に接続すると本体のボリュームがスルーされるので、送り出し機器側にボリュームがないと爆音再生になってしまう。電源はmicroUSB端子なのでモバイルバッテリーがオススメ。S/N比が悪くなるがACアダプターも使える。