■働きやすさをアピールする企業の福利厚生を見極めるポイント
昨今は「売り手市場」といわれており、各企業も優秀な人材を集めるために試行錯誤をしている。中でも、福利厚生で働きやすさをアピールする企業も多い。そこで、数ある福利厚生のうち、どのようにベネフィットを見極めればいいだろうか。佐々木氏に挙げてもらった。
1.「○○駅以内に住んだら、月○○万円を補助」に要注意!
「家賃補助制度、借家の方に毎月手当が支給されるという、比較的昔からある制度ですが、近年では『本社から2駅以内に住んだら○○円補助』という制度を敷くベンチャー企業が多いように思います。月10万円など、高額な手当であれば別ですが、月3万~5万円ほどの補助であれば、何も制限のない家賃補助に比べて単に利用しづらいだけであり、また長時間働くことを前提、あるいは終業後のお酒の付き合いなどを見越した企業の思惑が大きいように思います。
また、政府が主導する働き方改革の中にはテレワークなど多様な働き方を認める動きがありますが、この考え方と相反するものとも思います」
2.育児制度だけではなく、介護制度も充実しているかチェックするべき
「都心部の待機児童問題に、より多くの企業が育児制度を充実させる動きがあります。素晴らしいことですが、もう一歩進んだ企業は介護制度を充実させています。今後、一層の高齢化が進行し、介護離職者が多くなると想定されています。40歳以上のベテラン社員については、もれなく両親の介護というリスクがついて回るため、育った優秀な社員に離職されないよう、感度が高い大手企業ではすでに取り組みが始まっています」
自分の会社の福利厚生について、よく知らないという場合、今一度見直してみるといいかもしれない。また、希望を人事に積極的に伝えることも重要だ。就転職先に際しても、福利厚生の中身をしっかりと見極めるのも必要といえそうだ。
取材協力
株式会社ベネフィット・ワン 佐々木駿さん
福利厚生管理士。福利厚生のアウトソーシングを中心に事業を展開する株式会社ベネフィット・ワンにて法人営業に従事した後、企業と従業員の幸せな関係を気づくメディアBOWGL(ボーグル)を立ち上げた。https://bowgl.com/
取材・文/石原亜香利