■カスタムIME用リケーブルも登場!
モバイルオーディオで注目されているのがヘッドフォンとイヤフォンのリケーブルである。もともとは断線しやすいイヤフォンケーブルを着脱式にしたのが始まりだが、音質向上を狙った高音質ケーブルがサードパーティから発売され、リケーブルが流行したのだ。さらにバランス接続が加わり、各メーカーの人気モデルにはバランス接続用のリケーブルが発売されている。ORBの製品には、2.5φ4極バランス用、3.5φステレオミニ、6.3φステレオ標準の3種類のコネクターがあり、イヤフォン&ヘッドフォン側はMMCX仕様、HD25-I /II用、HD650用、FitEar用、Custom IEM用が発売中である。私が愛用しているのはFitEar用で、純正ケーブルよりも柔らかくて取り回しが楽で、しかも音もしっかりしていると文句のないリケーブルなのだ。
FitEar『Air』で主にハイレゾプレーヤーとiPhoneに接続している『Clear force FitEar 3.5φ』2万2000円/1.2m。ケーブルは柔らかくタッチノイズも少ない。
FitEar『MH334』でAstell&Kern『AK380』との接続に使っている『Clear force FitEar 2.5φ Balanced』2万2000円/1.2m。バランス接続の特徴であるS/N感、音場感、音の粒立ちの良さが感じられる。
変換プラグを使わずに据え置き型のヘッドフォンアンプが使える『Clear force FitEar 6.3φ』2万4000円/1.2m。プラグはノイトリックの金メッキ仕様。
■ケーブルは一度揃えたら浮気するな!
もし、気に入ったケーブルが見つかったら、浮気せずに使い続けることをオススメする。専門誌が発売されるほどオーディオアクセサリーはじゃんじゃん新製品が出てくるが、あくまでもコンポを支える脇役であって、主役を食うほどの実力は秘めていない。新製品に買い替えても音が画期的に向上する可能性は極めて低い。音決めはコンポでおこない、ケーブルはなるべくクセがないものを揃えた方がいい。そして、コンポを交換して今のままでは実力不足かもと感じたら、ケーブルの交換を検討しよう。
この逆にコンポはそのままでケーブルをどんどん高級化するのは本末転倒である。ハイエンドの定説では高額になればなるほど、音の変化は少なくなる。しかし、その少ない差を追い求めていくのがハイエンドの世界である。コスパを重視するならケーブルだけで1mで何万円もするような製品には手を出さず、自分のシステムに適した長さと、端子の作りの良さと、ケーブル全体の品質を追求しよう。ヘッドフォン用リケーブル以外は試聴する機会はなかなかなく、デザインと野生の勘、そしてメーカーのことを信じて選ぶというギャンブル的な面がケーブル選びにあることを覚えておいていただきたい。
写真・文/ゴン川野
オーディオ生活40年、SONY『スカイセンサー5500』で音に目覚め、長岡式スピーカーの自作に励む。高校時代に150Lのバスレフスピーカーを自作。その後、「FMレコパル」と「サウンドレコパル」で執筆後、本誌ライターに。バブル期の収入は全てオーディオに注ぎ込んだ。PC Audio Labもよろしく!
※記事内のデータ等については取材時のものです。