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オーディオ評論家・石田善之氏と家具工房がコラボした10万円の注文生産スピーカー『Ishida model』

2017.12.29

■これは欲しいと思わせる魅力的な音質

それではブラックウォールナット無垢のエンクロージャーはどんな音がするのだろうか。実は私、メタルコーンの8cmフルレジンユニット『M800』でスピーカーを自作したこともあり、雑誌「Stereo」のスピーカーコンテスト10台以上の自作『M800』の音を聴いてきた。さらに『OMF800P』を搭載したバックロードホーンの試作スピーカーもある。つまり、このユニットの音は結構分かっている。それが箱が違うだけで、そんなに音は変わらないだろうと思っていた。

ところが、デスクトップにスピーカーを置いてラズパイのシステムで鳴らしてみると驚いたことに、今まで聴いた音とは全く違う。まず、S/N感がいい。ニアフィールドではスピーカーからの直接音が多くなるので、細かい音が良く聴き取れ、ガサガサした付帯音にすぐ気付くのだが、『Ishida model』はエンクロージャーから余計な音が出ずにユニットの音だけが聞こえる。という書き方も不正確で、音楽だけが聞こえる。よくスピーカーの存在が消えるという表現があるが、まさしくシンプルな女性ボーカル例えば、森恵「Re:Make1、Grace of the Guitar、COVERS Grace of The Guitar+/時には昔の話を」(48kHz/24bit)では液晶モニターがあるにもかかわらず、ボーカルとギターがセンターにフワッと浮かび上がる。さらにメタルコーンだから音が硬いというイメージがあるが、ボーカルはとても柔らかく、その音はパルプコーンを思わせる。これはブラックウォールナットの影響かどうか分からないが、他のエンクロージャーに入った『M800』とは音色が違う。

それでは小型スピーカーのリファレンス逸品館『IMAGE11 KAI2』と比較してみよう。こちらはソフトドームを使った2Way密閉型で能率は低くパワーのあるアンプと組み合わせてワイドレンジ再生するタイプ。クセはなく、箱鳴りもなくモニター的に細かい音まで再現する。音が出た瞬間ワイドレンジであることが分かるが、ニアフィールドで聴き続けると耳が疲れてくる。振動板はソフトな素材だが、音はシャープで硬い。いつもサランネットを付けて試聴しいるが、それでバランスがとれる感じだ。ニアフィールドで聴くなら、あきらかに『Ishida model』の方が心地良い音色で、音場感の再現性にも優れている。どちらも小型スピーカーという制約があり超低音は再生できないが、『Ishida model』はフロントポートのバスレフなので低音の量感がある。ここで問題になるのが、バスレフで低音の量感を出すと解像度が下がったり、タイミングがズレたりすることだ。ところが本機は密閉型と思うほどバスレフっぽい音がしない。見事にチューニングされている。

ニアフィールドは0.95mの距離で試聴していたが、鉄製のスピーカースタンドに置いて距離を1.6mまで離した。これは6畳の長辺にスピーカーをセッティングしている。試聴システムはリファレンスに交換した。この距離でも音量は充分にとれる。音場感は先ほどと変わらずスピーカーのセンターにボーカルが浮かび上がる。左右の幅を広げた分だけスケール感も出てくる。この部屋のサイズであればメインスピーカーとしても充分楽しめる。8cmフルレンジなので、爆音を出すのには向いていないが、休日に音楽を楽しむには最適だ。ユニットを『OMF800P』に交換するとワイドレンジで、クッキリとした音になった。特に低域がしっかり聞こえメリハリがある。こちらは新品のユニットなのでエージング不足なのかもしれないが、ニアフィールドで聴く場合は『M800』のなめらかな音が耳に優しかった。

今回、まさに目からウロコの8cmフルレンジスピーカー体験だった。我々はついつい8cmより、10cm、10cmより15cmの方がワイドレンジと思ってしまうし、小型でもフルレンジより2Wayの方がいい音がするのでは、という先入観がある。もちろんユニットはネオジウム磁石で強力な磁気回路を積んで、ボイスコルはアルミエッジワイズ巻きで、メカニカル2Wayセンターキャップとか。しかし、オーディオで一番大切なのは部屋という言葉があるように、スピーカーで一番大切なのはエンクロージャーではないだろうか。『Ishida model』は受注生産で購入できるのはオントモヴィレッジのオンラインショップのみ。しかも最大2ヵ月待ちというAmazonプライムで明日届くのに慣れている身には永遠とも思える納期の長さ。ブラックウォールナットの無垢板から切り出すフロントバッフルは1つとして同じ木目にはならない。これは一生モノとして手に入れたいスピーカーである。


ニアフィールドで測定した『M800』装着時の周波数特性。ピンクノイズと測定用無指向性マイクを使用。


ニアフィールドで測定した『OMF800P』装着時の周波数特性。ピンクノイズと測定用無指向性マイクを使用。

写真・文/ゴン川野

オーディオ生活40年、SONY『スカイセンサー5500』で音に目覚め、長岡式スピーカーの自作に励む。高校時代に150Lのバスレフスピーカーを自作。その後、「FMレコパル」と「サウンドレコパル」で執筆後、本誌ライターに。バブル期の収入は全てオーディオに注ぎ込んだ。PC Audio Labもよろしく!

■連載/ゴン川野のPC Audio Lab

※記事内のデータ等については取材時のものです。

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