■スーパーツイーター不要の高域が魅力!
FOSTEX『FE83-Sol』と『FE83En』を同じエンクロージャーに入れて比較試聴したことがある。5600円と4500円、その差は1100円。私なら絶対に『FE83-Sol』を選ぶ。まず、解像度が高い。低域の歯切れがよく伸びている。つまりワイドレンジで情報量が多い。このキットだと4個のユニットが必要なので4400円の違いになるが、それ以上の価値があるのは確実だ。
Yuji Ohno & Lupintic Five with Friends「BUONO!! BUONO!!/THEME FROM LUPIN III 2015〜ITALIAN BLUE ver」(48kHz/24bit)を聴いてみると、重心の低い低域でウッドベースの胴鳴りがよく分かる。中低域の量感が豊かで、高域だけが目立つ感じはなくバランスがいい。「スター・ウォーズ/フォースの覚醒 オリジナル・サウンドトラック/The Ways of the Force」(192kHz/24bit)は左右に広がりのあるスケール感が出た。さすがに大音量で鳴らすと低域の解像度が下がるが、量感があってこのサイズでは頑張っている感じが伝わってくる。SHANTI「BORON TO SING/Killing me Softly With His Song」(96kHz/24bit)のボーカルはなめらかで聴きやすい。フロア型としてはちょっと背が低いので何らかの方法でユニットの位置を上げて耳の高さに近付ければ、さらに音像定位は向上する。
この箱を作るまでは8cmなんてオモチャじゃないとかと思っていたが、容積のあるバックロードに2本付けて鳴らすと6畳間で大音量再生が出来ることが判明した。大口径フルレンジで頭を悩ませる高域がイマチなのでスーパーツイーター付けるかどうかの問題で悩むこともなく、ウチのバックロードはハイレゾ対応と胸を張って言えるのだ。『ASB1081』は大きくてスピーカーユニットとも高価だからどうしよう〜と悩んでいた人にもオススメだ!
シングルとダブルを比較試聴すると、確かにフルレンジ1発の方がボーカルの音像定位は明確。しかし、聴き比べなければ分からないほどの差なので低音の量感アップの恩恵の方が大きい。
シングルとダブルで周波数特性を測定。シングルは容積が約半分になる専用のバックロードホーンエンクロージャーを使用。黄色が2発で、白が1発の特性。300Hz以下の低域の量感が増えたことが分かる。
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写真・文/ゴン川野
オーディオ生活40年、SONY『スカイセンサー5500』で音に目覚め、長岡式スピーカーの自作に励む。高校時代に150Lのバスレフスピーカーを自作。その後、「FMレコパル」と「サウンドレコパル」で執筆後、本誌ライターに。バブル期の収入は全てオーディオに注ぎ込んだ。PC Audio Labもよろしく!
※記事内のデータ等については取材時のものです。