年末年始といえば旅行シーズン。旅館に泊まって温泉を楽しむ計画を立てている人は多いのではないだろうか。より気持ちよく過ごすには、ある程度のマナーは守る必要がある。そこで基本的なマナーのおさらいから、意外と知られていないマナーまで、旅館マナーについて確認しておこう。
■旅館とホテル、どう違う?
旅館のマナーと聞くと、ホテルとの違いが気になる。例えば、旅館ではスリッパのままで廊下を歩いてもいいが、ホテルでは靴でなければならないということはよく知られている。
他にはどんな違いがあるのか。マナー講師の川道映里さんは次のように教える。
「旅館とホテルの大きな違いを一言で表すと『お客様との距離感』です。
ホテルは、ドアの鍵もセキュリティの高いものを使用し、お客様のプライバシーを守ることが大前提です。その上、お客様とも適度な距離感が保たれているので、安心して快適に過ごすことができます。一方、旅館では、日本が誇る『おもてなし』を中心としたサービスを提供しています。例えば、仲居さんがお部屋まで荷物を運んでくれたり、宴会や各種手配などお客様に寄り添った一切のお世話をしてくれたり、つまりお客様とのコミュニケーションをとる機会が多く、距離感が近いということになります」
そこで川道さんに、旅館マナーのホテルとの具体的な違いを挙げてもらった。
●基本的に飲食物の持ち込みは不可
「旅館やシティホテルでは、食中毒のリスクを避けるために、基本的に飲食物の持ち込みができません。しかし、ビジネスホテルやコンビニ併設のホテルでは持ち込むことができます。旅館に迷惑をかけないためにも、前もって宿泊の予約をする際に、確認しておくと安心です」
●靴は仲居さんにまかせてもOK
「老舗旅館では、玄関で靴を脱ぐ場合があります。その場合は、脱いだ靴を下駄箱にしまってくれる仲居さんがいることが多いので、そのまま前向きに靴を脱いで上がります。仲居さんへのお礼を忘れずに伝えましょう。
もし、仲居さんやスタッフがいなければ、まず旅館のほうへ向いたまま、まっすぐ靴を脱ぎます。そして、玄関に上がり、旅館にお尻を向けないよう横斜め向きなり、膝をついて靴の向きを直して揃えておきましょう。
また、部屋の前で靴を脱ぐ旅館では、部屋まで案内してくれた仲居さんが靴をしまってくれるため、自分で靴をそろえる必要はありません」
●お部屋に浴衣が用意されている
「ほとんどの旅館には、温泉があり、お部屋に浴衣が用意してあります。ですから、温泉に入り、浴衣のままお部屋で夕食を食べ、ずっと浴衣姿のまま過ごす人も多いようです。しかし、お部屋以外の共有スペースや廊下などでは、浴衣姿で歩いてはいけないとしている旅館もありますので、仲居さんや受付の際に確認しておくと良いでしょう」
●布団は仲居さんにまかせる
「旅館では和室が多いため、畳の上に布団を敷いて寝ます。最初は押し入れに布団がしまってありますので、勝手に出さないようにしましょう。布団は、仲居さんがお客様のことを考えて敷いてくれますので、おまかせします。また、布団を敷いてもらう時間をあらかじめ決めておき、その時間を仲居さんに伝えるとスムーズに進み、さらに快適に過ごすことができます」