さて、核シェルターと聞くと、ものものしい雰囲気を想像しがちだが、中に入ると、いい意味で予想は裏切られた。約4.5畳の部屋は、木の床に白壁で一般住宅さながらの快適性を重視した空間だ。
備え付けの2段ベッドとソファベッドは、体の大きなアメリカ人サイズ。ゆったりと休息が取れるだけでなく、エコノミークラス症候群の発生も防いでくれる。室内の一画に手すり付きポータブルトイレも完備。1回ごとに袋で処理できるので衛生的。
また、放射能などの化学物質を除去する空気清浄機があり、万が一の時も、室内ではガスマスクや防護服を装着する必要がない。「空気清浄機には小学生でも回せる手動クランクが付いているから、電力を失った時でも安心です」と話すのは、テクニカルマネージャーの武藤康治さん。さらに、出入り口の扉はパワージャッキでの開口が可能。がれき等に埋もれても重さ8トンまでは押し上げられるという。
「核爆弾などによる大気の汚染は、2週間たてば1000分の1に減退すると言われています」と武藤さん。そこで、床下収納にはあらかじめ2週間分の食料、水、日用品などが備蓄されているのも、うれしい配慮だ。
コンパクトな地下空間は、まるで秘密基地のよう。非常時以外には、書斎として、プレイルームとして、ワインなどの貯蔵庫として。アイデア次第で多彩な使い方も楽しめそうだ。