■ファスティングの回復食はどう選ぶ?
ファスティングが終わると、次の日からいよいよ食事を再開させる。しかし、急にいつもの食事に戻すのではなく、「回復食」を摂る期間を設けるのが通例だ。
「回復食の期間を設ける理由は、休んでいた胃腸などの内臓に負担をかけないためです。そのため、ゆっくり普通の食事に戻していき、慣らしていくことが重要です。
また、ファスティング直後の身体は、飢餓状態にあるため、必要以上にたくさんの栄養分を吸収しようとしてしまいます。ファスティング前よりも脂肪として蓄えられてしまう可能性があるので、軽いものからはじめるといいとされています」
そこで武部さんに、ファスティングの回復食としてふさわしいものを教えてもらった。
「胃腸に何もないところから始める回復食ですので、負担を与えないためにも“重湯(おもゆ)”から始めるのが一般的です。例えば3日間のファスティングをした場合、3日間、回復食にするのが理想です。その間は、動物性の食材や、脂っこいものも控えます。“まごわやさしい”(※)の和食、発酵食を意識すること。とにかくよく噛むこともポイントです」
※「まごわやさしい」とは
体に良い和の食材の一文字目を並べたもの。「ま」は豆類、「ご」はごま、「わ」はわかめなどの海藻類、「や」は野菜、「さ」は魚、「し」はしいたけなどのキノコ類、「い」はいも類を表す。
【回復食の例】
1日目
朝食:重湯
昼食:味噌汁、おかゆ、お漬物
夕食:野菜スープ、煮野菜
2~3日目
朝食:味噌汁、ごはん、お漬物、梅干など
昼食:そば、煮物など
夕食:味噌汁、ごはん、ひじき煮や切干大根煮、納豆など
重湯とは…お米:水=1:10など、水分が多いおかゆをこしたもの。(割合は厳密には決まっていない)おかゆそのものは食べない。
「ファスティング期間、食べることを絶つことにより、五感が研ぎ澄まされます。嗅覚も味覚も驚くほど敏感になるため、味付けの無い重湯がとてもおいしく感じます。食材そのものの味がより強く感じられるのです。私たちが今まで食べていた『おいしい』とはいったいなんだったのか、『食べること』への感謝の念が生まれ、価値観までもが変わるのがファスティングのメリットの一つです」