田辺「え? しっかりしているから、協力できない……?」
みつさん「そりゃそうさ。何でもできる人に、協力したいと思うかい?だらしない人だから、助けたくなるんじゃないか。
いいかい、さっきのコーヒーの話。デスクでコーヒーをこぼした瞬間って、どうなるか知ってるかい?」
田辺「周囲のみんな、慌てますよね。茶色便とか言って笑ってるのは、きっと営繕のみつさんくらいでしょう」
みつさん「あの瞬間の、周囲の動きったら、完璧なる連係プレーだよ。メジャーリーグの内野手目指せるぜってくらい。
はい、こぼします。こぼされたデスクの人が『ギャー』と叫びます。その0.1秒後には、前のデスクも、横のデスクも、隣の会議室からも人が飛んで来ますー。
1人は手でしたたる液体を受け止め、1人はティッシュを取りに走り、1人は書類をよける。
この状況が、何を君に物語っていると思う? これは企画部の実際の君の部下たちの話だよ」
田辺「そうか……。本当に助けなきゃいけない状況になったら、みんなちゃんと動くということか」
みつさん「そう。本当にあの人は助けなきゃ大変だって部下に思わせるくらい、自分の『だらしなさ』を露出してごらんよ。
君は今、仮面をかぶっている。『俺は、できるんだ』というプライドの仮面をね。君、企画部では仮面ライダープライドって呼ばれてるんだよ」
田辺「え? そうなんですか?」
みつさん「いや、ウソだけど?」
田辺「なんて、テキトーな人なんだ。でも、おっしゃることは本当に納得できました。もっと自分の「経験のなさ」を隠さず部下に露出しますね」
みつさん「そう、それでいい。君がしっかりするから、周囲がだらしなくなる。君がだらしなくなれば、周囲がしっかりするよ」
田辺「人の上に立って、周囲とうまくやるのにプライドは不要ですね」
みつさん「上司の役目って、『コーヒーを机にこぼすこと』なんじゃないかな? 企画部の若手のあの連係プレー、本当に見せたいよ」
田辺「なんか、スッキリしました!」
みつさん「心理学的にはお互いの肉体のコンプレックスを見せ合うことが、一番手っ取り早く仲良くなる方法だといわれている。日本には昔から銭湯という文化があるだろ? 包み隠さず、だらしない自分をさらけ出すことで生まれる絆が、戦後の日本をここまで復興させたんだから、君のプロジェクトなんてあっという間だよ」
【今週のみつさんの智慧】
本当に助けたくなる状況なら、どんな人だって体が勝手に動くもの。これを、デスクコーヒーの法則と呼ぶ。呼ぶというか、「呼んでほしい」(笑)。あなたが協力してもらえないのは、あなたがしっかりしてるように見えるから。プライドという仮面を脱いだら、みんなが仲間になる。仮面ライダーとしてひとりで戦うより、変身前の一般人に戻って仲間10人と笑い合おう。
さとうみつろう●大学卒業後、エネルギー系の企業に入社。2011年、ブログ『笑えるスピリチュアル』を開始。様々なブログランキングで1位に。14年に会社を辞め、全国各地でトークショー&ピアノライブを開催。現在は那覇市在住。http://ameblo.jp/mitsulow/
※この連載は実際のDIME読者からの相談で構成しています。
※記事内のデータ等については取材時のものです。