劉:Hyundai Cardといえば、「Hyundai Cardカルチャープロジェクト」が真っ先に思い浮かびます。最近、Hyundai Cardの文化マーケティングが話題になっていますね?
現:その中心には2007年から始めた「Hyundai Cardスーパーコンサート」があります。ポール・マッカートニー、ビヨンセ、コールドプレイなど、世界的に有名な歌手や、プラシド・ドミンゴのようなオペラ歌手も出演しました。「カルチャープロジェクト」というタイトルで、演劇や展示会、建築展覧会など、様々な文化活動を行っています。
劉:他の企業とは違った、このようなイノベーションを起こせる原動力は何でしょうか? CEOの方針でしょうか?
現:CEOのジョン・テヨン(丁太暎)副会長の革新的な考え方も大きな影響を与えましたが、自由にチャレンジできる企業文化のおかげでもあります。”クレジットカード会社のスティーブ・ジョブズ”のニックネームを持っているジョン副会長。彼は自身のSNSアカウントを通じて、幅広くコミュニケーションを取っています。また、デザインに対する感度も高っく、自社の広告、コンサート、展示会などの活動について、コンセプトから積極的に関わっています。
劉:今後のマーケティング戦略については?
現:デジタル企業への転換です。Samsung Payやkakao payのような電子マネー決済など、プラットフォームの変革による金融システムのパラダイムが変わっていることと、クレジットカード加盟店の手数料の値下げによる利益の減少など、業界全体が厳しい状況ということもあります。カード利用者の文化多様性やデジタルテクノロジーを融合して、現状を乗り越える戦略です。
[INFORMATION]
Hyundai Cardは現代自動車グループが2001年、ダイナースクラブ・コリアを買収して立ち上げたクレジットカード会社だ。買収当時は、約1.8%のシェアで業界下位レベルだった。2003年5月、デザインマーケティングや、差別化したサービスを提供した「Hyundai Card M」をローンチングしてから1年後、会員100万人を突破、クレジットカード単体ブランドとして、韓国内最大規模の800万人が加入した。透明カードや、ミニカード、チタニウム素材のカード、そして、最近は縦長のカードなど、デザインや文化マーケティングに引き続き、力を注いでいる。
取材・文/劉昊相(ユー・ホーサン)
韓国出身。見知らぬ場所や文化を楽しむ、生まれついての旅行家。イギリス在住時に様々なプロジェクトを経験、Panasonicなど多国的企業での海外業務経験を持ち、英語、日本語、韓国語に通じる。旅行 コミュニティー「Club Terranova」を運営。