オフロードバイクという名前から、多くの人はダートや林道だけが得意なバイクと思いがちだが、これは大きな勘違い。じつはオフロードバイクが得意とするのは街中やワインディングだ。
オフロードバイクは悪路を自在に走るために、重心が高く設定されていて、ちょっとした加重の変化で車体を左右に動かすことができる。つまりライダーの挙動に対して敏感に反応してくれる。これがワインディングで効果を発揮。タイトコーナーを右に左にキビキビと曲がれるのだ。ビギナーであれば、前傾姿勢で体勢を大きく変えなければならないスーパースポーツよりも、オフロードバイクの方が断然速く走れるはずだ。
つまり、林道を走らないオンロードツーリングでも、オフロードバイクは十分にオーナーを楽しせてくれるのである。
オフロードバイクは、ハンドル切れ角が大きいのが特徴。低速時に車体を大きく傾けることなく、ハンドル操作で曲がることができる。しかも、重心が高いために低速時でもバランスが取りやすく、ふらつくことがない。これは林道を安全に走るためには欠かせない特性なのだが、街中でも効果を発揮する。
裏路地の細い道や交差点、さらに道に迷った時にフラフラと目当ての店を探すとき(ツーリングによくある光景)など、オフロードバイクなら安全に低速走行がおこなえるのだ。
また、車体が軽くてハンドル切れ角も大きいので、Uターンなどが不安な場合などは、押して歩けばいい。ビッグバイクのように躊躇することはないだろう。
つまり、オフロードバイクは林道からワインディング、そして街中まで、走るシーンを選ばずにライダーを快適に、そして楽しく走らせてくれるのだ。
あらゆるシーンで有利なオフロードバイクだけど、よく聞く話が「シートの高さが心配……」という意見。しかし、結論から言ってしまえば、バイクは片足のつま先さえつけば問題ない。
これはオフロードバイクに限った話ではないが、停車時は全車重が足に掛かるわけでない。基本的にはバイクはほぼ直立で、バランスを取りながら停車している。だから、つま先さえついていれば、バイクが倒れることはない。しかもオフロードバイクは他ジャンルのモデルに比べて軽いので、ライダーに掛かる負担も低い。たしかにはじめは恐怖を感じるかもしれないが、慣れてしまえば重量のあるオンロードバイクよりも、はるかに安心に思えるだろう。
さらにサスペンションは柔らかいので、オンロードモデル以上に車体は沈み込む。シートも細いので、じつはスペックの数値ほどの高さは感じないはずだ。もしもカタログの数字だけで躊躇しているなら、一度跨ってみることをおすすめする。それでも心配なら、アフターパーツメーカーから発売されているローダウンキットを装着するのもいいだろう。
敷居の高さを感じさせるオフロードバイクだけど、じつはビギナーやリターンライダーでも乗りやすい。それでいて、極めればどんな悪路にも入っていけるので上級者をも満足させてくれる。真の万能バイク……それが250ccオフロードバイクなのだ!