■世界中の商品を高速生産
改良を重ねてきたのは商品だけではない。変化する商品に合わせて工場のラインも細やかな改良が重ねられている。工程は
(1)シートに粘着剤を塗布してハウスに貼り付ける。
(2)足ふきマットをとエサをセット。
(3)店頭販売用パッケージに詰める。
という流れですべてが自動化されている。最も難しいのは粘着剤で、気温や湿度にあわせて細かく調合されているが、それも現場の職員が経験してきた声を元にしたもの。
海外向け商品も坂越工場で製造され、輸出されている。各国にあわせてパッケージは変えているものの、商品内容はすべて同じ。類似商品も出てきたが、高い日本品質で信頼性を勝ち取り、輸出量は年々増えているそうだ。
しかしゴキブリ対策のニーズは、見えないところで、薬剤を使わず、確実に退治する、という流れに向かっている。しかし、『ごきぶりホイホイ』の国内生産量は、ここ数年横ばい傾向にある。一方で、中国では衛生管理への関心が高まってきた影響で輸出量が増え、アジア全体では伸びているという。研究所の生物育成エリアで世界中のゴキブリを育てている理由もうなづける。
1892年の創業から125年の研究を積み重ねてきたからこそ、人類の天敵に立ち向かうロングセラーが生まれたのだ。
取材・文/野々下裕子