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なぜ「神田○○町」「日本橋○○町」という地名は多いのか?

2017.11.24

■麹町区と神田区が合併、日本橋区と京橋区が合併し、「千代田区」、「中央区」が誕生した

 現在の「千代田区」は昭和22年に麹町区と神田区が合併して誕生、「中央区」も同年、日本橋区と京橋区が合併して誕生した。

 晴れて現在の千代田区、中央区ができたわけだが、明治11年に15区が制定されてから70年余り、多くの住民は以前の名前に親しんでいたわけで、情は簡単に切り替えることはできないものだ。そんな住民の声に行政が応えたとも、重複する地名を避けるためともいわれるが、旧神田区の町名に神田の冠称を、旧日本橋区の町名に日本橋の冠称をつけたのが、「神田○○町」、「日本橋○○町」を数多く生んだ理由なのだ。

 地名だけではない。現在、千代田区内の税務署は「神田税務署」、「麹町税務署」に管轄が分かれ、中央区も同じく「京橋税務署」、「日本橋税務署」に分かれているのも、15区時代の名残りといえよう。

■えっ、また神田○○町が増えるの?

 すっかり、神田、日本橋の地名だらけになったのだが、昭和37年(1963)に施行された「住宅表示に関する法律」に基づいて、郵便物の配達などの便を図るため、千代田区では三崎町や猿楽町などが神田冠称を外すことになった。

 しかし、神田の名に愛着のある住民にとって神田冠称を外すことはなかなか受け入れがたかったようで、ほとんどの地区で住居表示の変更は受け入れられなかったこともあり、江戸開府400年を契機として平成16年(2004)に、三崎町、猿楽町の神田冠称復活が区に対して要望された。

 そして、平成26年(2014)の区議会で町名変更を決議、平成30年(2018)1月1日から「神田三崎町」「神田猿楽町」の地名が復活することになっている。

 これで神田冠称(かんしょう)は23町に増える。ややこしいんじゃないか? と最初は疑っていたけれど、今では地域の歴史に結びついた由緒ある地名に敬意を感じており、神田冠称が増えることに、まったく疑問を覚えない。

 東京オリンピック開催で変わろうとしている東京ではあるが、江戸時代から続く歴史を思い返し、温故知新の気持ちで町を眺めたら、見慣れた風景もちょっと違って見えてくるのではないだろうか?

取材・文/中馬幹弘(ちゅうま・みきひろ)

慶應義塾大学卒業後、アメリカンカルチャー誌編集長、アパレルプレスを歴任。徳間書店にてモノ情報誌の編集を長年手掛けた。スマートフォンを黎明期より追い続けてきたため、最新の携帯電話事情に詳しい。ほかにもデジタル製品、クルマ、ファッション、ファイナンスなどの最新情報にも通じる。

※記事内のデータ等については取材時のものです。

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