映画『ジュラシックパーク』は、当時最先端のコンピューターグラフィック(CG)をフル投入したけれど、観客はコンピューターグラフィックというのをほとんど意識しなかった。華やかなビジュアルではなく、自然な恐竜の姿を表現することを重視したためだ。
次第に一般化し始めている、電動自転車にも似たような状況が演出されているようだ。
普通、電動自転車とえいば、バッテリーパックによるぶ厚いチューブフレームと、タイヤについた大きなモーターなどにより、外観からすぐわかるものだ。そんな特徴を、あえて個性としてデザインしたモデルもあるけれど、逆に、電動自転車でありながら、外観がおとなしいモデルを好むユーザーもいる。
■電動自転車に見えない電動自転車
Freygeist”Classic”(フレイジェスト「クラシック」)
この自転車に乗っていて、誰が電動自転車だと思うだろうか?
ドイツで披露されたこのモデルのコンセプトは、”電動自転車であることを徹底的に隠した、都市型自転車”だ。
ブルックスの茶色の革サドルとハンドル、シマノの変速機、そしてコンチネンタルのタイヤなどのパーツを見ると、ちょっと上質な自転車といった雰囲気だ。
最大500Wの電力を供給するパナソニックのリチウム-イオンバッテリーを完璧に収納したチューブフレームは、普通の自転車のフレームと、「どこが違うの?」といった感じだ。唯一、視覚的に意識できる部分は、ダウンチューブフレーム部分と、ハブモーターに伸びる電装品と配線だろう。
フレームはアルミ、カーボンフォークにシマノ製の10段変速機を装備して、重さは12kgまでに抑えられた。軽量のためモーターの効率が良くなったことはもちろん、バッテリーを放電しきった後、ペダルだけで漕ぐのもラクだ。
それだけでなく、競合モデルに比べて、大型のバッテリーパックを採用しており、電動での走行可能距離も70〜100kmに達する。
最高速度は25km/h。ただし、バッテリーはフレームと一体型なので、自転車を充電するコンセントへ直接つなげなければならない。 完全充電するには3〜4時間を要する。価格は3990ユーロ(約45万8000円前後・2016年11月2日現在)。
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