■ファストカジュアルの新ブランド誕生が相次ぐ
SALADASTOP! のように、ファストカジュアルの海外ブランドが今、続々誕生しており、日本にもやがて進出してくることであろう。
一方、外資参入ではなく日本独自のファストカジュアルを生みだし成功している店もある。ご存知「丸亀製麺」だ。
客の目の前で麺を茹で、天ぷらなどのサイドメニューも店内で調理、そして、清潔に保たれたテーブルやカウンター席を用意し、客単価は立ち食いうどん店よりも高めだが、うどん店や和食レストランよりは安い。現代のニーズにフィットする業態は、当然のように急成長を達成。海外進出を行なうまでに至っている。
また、24時間営業廃止で注目された「ロイヤルホスト」が運営する、新業態カレーショップ「スパイスプラス」も、カウンターオーダーでありながら本格的な料理を仕上げている。
このように、ファストカジュル業態も多様化しており、ファストフードに高級感を加えた店舗、ファミレスがロープライス化した店舗が、同時に増えている。例えば今後、ファストフードの代表格であるマクドナルドがこの業態を取り入れ、次なるブランドとして確立させていく可能性も十分ある。安さと速さだけを武器にするビジネスバリューはもはや低下、食の安全が敏感になっている今、「美味しいものをリーズナブルに、安心して食べたい」と、求める声は高まるばかり。ファストフードが少しずつ業態を進化させ、ファストカジュアル化を進めたら、フード業界は今後大きく変化することになるのは間違いない。
サービスを簡略化しつつも、低価格で本格的な料理を提供しているファストカジュアル。この業態が日本に定着するのもそう遠くはないだろう。客単価が良いファミレスと、安さと回転率の高いファストフードのいいとこ取りを狙う「ファストカジュアル」は、最も注目したいキーワードだ。
文/花澤御金 取材・撮影/中馬幹弘(ちゅうま・みきひろ)
慶應義塾大学卒業後、アメリカンカルチャー誌編集長、アパレルプレスを歴任。徳間書店にてモノ情報誌の編集を長年手掛けた。スマートフォンを黎明期より追い続けてきたため、最新の携帯電話事情に詳しい。ほかにもデジタル製品、クルマ、ファッション、ファイナンスなどの最新情報にも通じる。
※記事内のデータ等については取材時のものです。