フードビジネス業界の勢力図を描き変える、「ファストカジュアル」という業態をご存じだろうか。
ファストフードとファミリーレストランの中間にあたるスタイルで、品質の高い食材を使用し、厳選されたメニューを提供。低価格と質の高さを兼ね備えており、外食頻度の高いアメリカで生み出されたハイブリッド業態である。最新キーワード「ファストカジュアル」を探ってみた
■アメリカの最新トレンドを常に、日本のフード業界も採り入れてきた
アメリカ消費社会のメインストリームである、1945〜64年に生まれた「ベビーブーム世代」、1965〜80年に生まれた「ジェネレーションX世代」、1981〜2000年に生まれた「ジェネレーションY世代」。当たり前のように外食を行なう彼らが、世代の違いこそあれ、アメリカのフードビジネスを支えてきた。
このアメリカの外食文化が日本にも広がり、たとえば「ファミリーレストラン」が日本で外食をする機会を増加した。また、手軽さと安さを売りにする「ファストフード」が日本に上陸するやいなや、不景気の影響もあり瞬く間に急成長を遂げた。
ところが、アメリカの外食産業は、健康意識の高まりもあって高カロリーな食品が敬遠されたり、調理場が見えないことへの不信感から安全性が叫ばれたりと、「多少高くても、品質がよく安全で美味しいものを……」へと、消費者の嗜好に変化がでてきた。
そこで新たに誕生したのが、「ファストカジュアル」だ。“見せる調理場”を取り入れたスタイルが中心で、注文を受けてから調理を始めるのが基本。アメリカではブームとなっている。
日本ではファストフードの人気が高い。しかし、「食の安全、安心、高品質」が叫ばれる昨今、日本でもファストカジュアルを求める消費者が徐々に増えてきている。
実は、これまでもファストカジュアルは日本にあった。代表格として「フレッシュネスバーガー」「サブウェイ」などが挙げられるのだが、従来からのファストフード枠で捉えられていた。今後はファストカジュアルの考え方が広まっていく中で、再評価されていくだろう。