■レーサーレプリカを極めたモデルが各社から登場
やや大人しい印象だった『GSX-R250』に対して、1989年に発売された『GSX-R250R』はレーシーそのものだった。
デュアルヘッドライト、フロントダブルディスクブレーキ、セパレートタイプのリアシートという、レーサーレプリカの方程式を全部詰め込み、さらに、「スポーツプロダクション仕様」という、レースに対応したシングルシートのモデルまでラインアップした。
ハンドル位置も低くし、フロントタイヤまで被るように下げて、セットされたフロントカウルも、レーシーさを強調するものだった。
250cc4気筒レーサーレプリカの定型となった、FZRもまた、1989年にフルモデルチェンジ。フロントにダブルディスクブレーキを奢り、エンジンも1万6000回転で最大出力を発揮する、より高回転対応の仕様にしてきた。
そして、最後の参入メーカーとなったカワサキは、とびっきりレーシーなスタイルの『ZXR250』で1989年に勝負をかけてきた。
フロントフォークには倒立型のサスペンションを装着、フロントカウルに開けられた穴からエアダクトがハンドルの上をまたぎ、ダミータンクを経由、直接エンジンまで空気を導入する、これも街中での実用性というより、レーサーのルックスを忠実に再現する方向で、派手好きのライダーたちのハートをギュッとつかんだ。