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ドラえもんが現代アートに!?見どころ満載の「THE ドラえもん展 TOKYO 2017」

2017.11.08

◆町田久美「星霜」
(高知和紙、岩絵具 顔料、墨、金泥、金箔、銀箔、金属箔、鉛筆、油性色鉛筆)

町田さん「ドラえもんはコロコロコミックの創刊号から読んでいて、この話をいただいたときうれしかった反面、むずかしいなと感じた。完全に自分の中でドラえもんはできあがったものとして存在していて、自分の中に取り入れて作品にするなど考えたことさえなかった。

 子どものころに読んでいたコロコロコミックに読者の投稿欄があって、そこに似顔絵が掲載されていたが、なかなか藤子F先生にそっくりの絵がなかった。描き方教室、絵描き歌などもありその通りに描けば確かにドラえもんにはなるが、どこか藤子F先生の描くものとは違う。がんばって描いても似ることがなくそのままドラえもんの時代は過ぎてしまい、ドラえもんそっくりに描く試みは子ども時代に置きっぱなしになっていた。今回の作品も最初はドラえもんじゃないものを描いてみたがやはり違うと感じ、考えた結果ドラえもんを忠実に描いてみようと思った。

 次に構図で悩んで、顔やシーンは思い浮かぶが、うまく表現できなかった。そこで死なないロボット、永遠性のドラえもん、歳月を超えて今も存在している、未来にも存在しているドラえもんを描いてみようと考えた。黒線は小さなドットで描き、白というピュアなイメージを持っているものでドラえもんの普遍性を描いた。和紙だが雲肌を変えて、高知和紙を使った。テクスチャーが雲肌麻紙よりも荒々しい感じになっている。

 搬出の時に気になったところがあって、ちょっとだけ線を足したところ、その場所のバランスが崩れて会場で描き直した。線が自分なりに行きつくと、特殊な見え方がする。発光しているような、感覚的につかめる何かが自分には感じる。それが搬出したときには無くて、どうしても見つけたいと時間をいただいて描いた。鼻のグラデーションはドットとハッチング。目の輪郭の薄くなっているところは薄墨でグラデーションをつけた。真っ白な部分はマットな感じで、胡粉などいろいろ混ぜたがレシピは秘密」

山下教授「和紙のテクスチャーがこの作品の命。遠目に見るとデジタル画像のようにも見えるが、近くで見ると実に細かい。太い線を一気に引いているのではなく、点の集積になっている。町田さんの作品は日本画の特性でデジタル画像ではわからない。ドットで描いた線やグラデーション、地色の高知和紙とマットな白の分のコントラストなど、実物に近寄ってじっくりと見て欲しい」

◆西尾康之「OPTICAL APPARITION」
(樹脂石膏、陰刻鋳造、3DCG)

 

山下教授「指で粘土を押して鋳型を作る“陰刻鋳造”という極めて特殊な独自の手法を用いるのが彼の作品の特徴。出っ張りを作るには西尾さんの手が必要なわけで、作品の中には必ず彼がいる。西尾さんは子どものころから異常にドラえもんに興味があって、育てているサボテンにドラえもんの名をつけたほど。ある日、ドラえもんの中身が見たくてサボテンを切ってしまったエピソードもあるほど」

西尾さん「はんこや銅鐸も陰刻だが、型をダイレクトに粘土で作ってそこに何かしらを流し込み粘土をはがすと、自分がこうなるんじゃないかと思って作ったくぼみが出てくる。出っ張らせたかったら引っ込ませなければいけないなど、逆で作るので思ったような形にならない。でもなんとかドラえもんの顔はできた(笑)。後ろ側はロダンの“地獄の門”を見たときの印象で作っている。

 小さいころから存在不安という恐怖に怯えて人生を送ってきた僕は、自分が作ったものは本当にこの世に存在するのかという問いがあり、作品もそれをテーマにしてきた。陰刻鋳造という手法を使うのも、僕が作るものが実態ではなくて、空虚な空間だというのが自分にとって響く技法だったからだ。どんな空間かというのを検証するために二次的に立体になっている。今回はさらにグレードアップさせようと、さらにはかない数値でしかないプロジェクションマッピングを投影。その結果、動きが生まれて命になったような曖昧な状態が手に入った」

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