■血圧を下げる効果が期待できる食材とは?
ところで、いくつかの食材には血圧を下げる効果が期待できる研究が報告されている。この秋、高血圧が気になる場合には、温度対策と共に参考にしたい。
●トマト
トマトに含まれるアミノ酸の一種である「GABA」には血圧を低下させる働きがあることが分かっている(静岡県立大学食品栄養科学部 横越 英彦「広がりつつあるサプリメントを理解する — 腎不全患者に活用するために」『[各論]8. GABA(ギャバ)』2008年 12月より)。
トマトは旨み成分であるグルタミン酸が野菜の中でも非常に豊富であるため、少ない塩分で調理しても、しっかりと旨みが感じられ、減塩にもつながるといわれている。
●レモン果汁飲料
県立安芸津病院・県立広島大学・ポッカサッポロの共同研究によると、レモン果汁飲料の継続的な摂取により、血圧が有意に低下することが分かっている。
●きのこ類
株式会社ホクトの調査によると、きのこ類にはナトリウムの排出を促し、血圧を下げる効果のあるカリウムが豊富に含まれているという。特に多いのがブナピーとブナシメジだそうだ。また、きのこ類に多く含まれるナイアシンには、血管を拡張して血圧降下作用があるという。またきのこ類にはGABAも豊富に含まれていることも分かっている。
●チョコレート
株式会社明治の研究によると、チョコレートに含まれるカカオポリフェノールには血管を広げ、血球を通りやすくする作用があり、血圧降下に効果的だということが分かっている。また、実証実験により、高血圧群のほうが正常血圧群よりも血圧低下量が大きいという結果が出たそうだ。
これらの食材の血圧に関する効果は、あくまで研究結果によるものであり、実際、どれほどの量を取ればいいかなどはそれぞれの体質や食材によって異なってくる。また、高血圧を防止するためといっても、食べ過ぎることはないようにしたい。少し意識して取り入れるといった具合に参考にしてみると良さそうだ。
監修/池谷医院院長 池谷敏郎先生
1962年、東京都生まれ。1988年、東京医科大学医学部卒業後同大学病院第二内科に入局。1997年、池谷医院理事長兼院長に就任。臨床の現場に立つ傍ら、内科、循環器科のエキスパートとして、各種メディアへの出演・寄稿に加え、講演を行うなど多方面で活躍中。わかりやすく歯切れのよい医学解説が好評を博す。
取材・文/石原亜香利