今年は、10月になってからも気温が高い日が続いていたが、朝晩は特に、いよいよぐんと冷え込んできた。急激な気温差により体調を崩しやすい季節だが、特に注意したいのが血圧だ。血圧は寒暖の差が大きいときや、季節の変わり目、寒さによるストレスなどで上がるといわれている。
そこで今回は、医師監修の下、秋に血圧上昇しやすい理由と血圧を下げる効果が期待できる食材をする。(池谷医院院長 池谷敏郎先生監修)
■秋は血圧が上昇しやすい
9月~10月にかけての秋は、一年のうちでも血圧が上昇しやすい季節であることが分かっている。オムロンヘルスケア株式会社による「にっぽん健康データ2012」によると、9月から10月にかけて、全国平均128.8→131.9と、急激な最高血圧値の上昇が見られた。
同調査結果にコメントを寄せている小山市民病院 病院長、日本高血圧学会前理事長の島田 和幸医師によると、「急激な気温変化は血圧上昇のリスクを高める」という。
朝晩の寒暖差が激しくなる時期にかけては特に注意が必要だ。
■年齢が上がるにつれて高血圧の割合が増加
いま、日本人の血圧はどうなっているのか。
厚生労働省の「平成28年 国民健康栄養調査」によると、収縮期血圧である最高血圧が140mmHg以上のいわゆる「高血圧」に該当する人の割合は、男性 34.6%、女性で 24.8%となっている。男女共に減少している結果となった。
出典:厚生労働省「平成28年 国民健康栄養調査」3.血圧に関する状況
しかし、高血圧は年齢と共に増えている。厚生労働省が平成12年11月に実施した「第5次循環器疾患基礎調査」によると、高血圧(140mmHg以上または最低血圧90mmHg以上)の人の割合は、30代の男性23.1%から40代には40.4%と大幅に増えており、50~70代と年代が上がるにつれて顕著に増えている。
今は大丈夫だと思っていても、この先、高血圧になる可能性は誰にとっても十分あるといいえる。
■血圧が高いとなぜいけないのか
ところで、なぜ血圧が高いことがいけないのか。池谷医院院長の池谷敏郎医師は次のように話す。
「血圧が高い状態が続くと、血管や心臓に負担がかかり、自覚症状がなくとも動脈硬化や心臓肥大が進みます。その結果、脳卒中や心筋梗塞、心不全、不整脈、動脈瘤、腎不全など、あらゆる循環器病リスクが高まります。血圧が高いほどこうした循環器病によって死亡する率が高くなるという研究結果も出ています」
池谷医師によると、特に寒暖差の激しい時期には注意が必要だという。
「朝晩の気温が低い時期は、血圧上昇のリスクが高まります。例えば、朝起きて着替えるときや、お風呂に入る前に服を脱ぐときなど、身体がぶるっと震えるようなときです。寒さを感じると人は身を守ろうとして身体をギュッとちぢこませますが、このときに体内の血流もギュッと収縮され、血圧が急激に上昇してしまうのです。
このような現象を避けるためには、早朝に急に布団から出たり、急に服を脱いだりせず、部屋を温めてからにするなど工夫しましょう。また、トイレの冷えには十分気をつけてください。入浴の際は浴室や脱衣所を温めておくなどの対策を行うと良いでしょう」