ウェアラブルデバイスは日常への溶け込みを図りますが、「あくまで“デバイス”・“ハードウェア”である」という固定概念を究極まで削ぎ落とせない限り、その目論見は成功しないでしょう。
なぜなら、特定の重み、形を持つ“付け足されるもの”であるという感覚が強ければ強いほど、利用者に“負担”と感じられる可能性は高まるからです。
理想的なウェアラブルデバイスは、私たちが普段、特に意識をすることもなく身に着けている“衣服”のように、ファッション性と機能性を兼ね備えていなくてはならず、それらを“負担”が上回ってしまっては、日常に入り込む隙間はありません。
“身に着けている”という感覚を究極まで削ぎ落としたウェアラブルデバイスは、いったいどのような姿をしているのでしょうか?
答えは未知ですが、MITメディアラボから発表された“ウェアラブル”タトゥー製作プロセス「DuoSkin」は、未知を照らす明かりかも知れません。
◆「DuoSkin」に実現できる3つの機能
インプット、アウトプット、コミュニケーション――
DuoSkinは、私たちがウェアラブルデバイスに求める最低限の機能を漏らすことなく実現します。
DuoSkinのインプット機能は、ボタン、スライダー、2Dトラックパッドなど、私たちがすでに親しんでいるユーザーインターフェースを通じて実現されます。
水平ラインと垂直ラインを別々に構築し、後に接合。
近年のスマートデバイスと同様に、直感的な操作が可能になります。
2016年9月現在、DuoSkinのアウトプット機能は、“温度の変化によって物質の色が可逆的に変化する”サーモクロミズムによって顕著に表されます。
あなたの体温が変動すると、肌に貼り付けられたDuoSkinが、模様や色を変化させて応えます。
DuoSkinのコミュニケーション機能は、金箔性の電気回路に埋め込まれたチップを通じて可能です。
チップは近距離無線通信(NFC)を搭載しているので、駅の改札にICカードをかざしたり、スマートフォン間のデータ交換を行ったりするような、ごく平易な動作によってコミュニケーションを実現します。