使い慣れた万年筆ユーザーでも意外に知らないのが、基本的な使い方。持ち方ひとつでも知れば書き心地が劇的に変わります。書く楽しみも120%アップする「基本のき」を文具のプロである、文具コンサルタントの土橋正さんに教えていただきました。
◎万年筆は書き手の感情を伝える道具
文具コンサルタントの土橋正さんいわく、「これほど書いた時の気持ちよさが、ダイレクトに伝わるものはない」という。
「しかも、万年筆で書くとインクの濃淡が出て、それが味わいになる。字のつたなさを覆い隠してくれるというか、そういう包容力が万年筆にはあります」
では文具コンサルタントならではの、選ぶコツとは?
「サインに使うのか、礼状に使用するのか、しっかりと用途を決めてから買うことが大事です」
試し書きの際は、2つのことに留意すべきと土橋さんはいう。
(1)座って書く。
(2)自分が使う想定をしている用紙を持っていき、それに書く。
「限りなく実際の状況に近づけて選ぶ、ということが大事なんですね。万年筆は、正しく使えば一生使えますから、自分に合った万年筆を探してください」
使うほど万年筆は手の一部に。土橋さんの20年愛用のペン先は、わずかだが平らになじんでいる。