■エレベーターつきの跨線橋
河戸帆待川―あき亀山間で目につくのは、エレベーターつき跨線橋だ。鉄路復活区間では、踏切を3か所に絞った。
跨線橋は旧四日市第3踏切付近に設置。安全確保のため、線路の両脇にフェンスが設置された。可部四日市簡易郵便局側だと、“どこを歩けば跨線橋にたどり着けるのか?”という、わかりづらい難点がある。
四日市踏切(旧四日市第6踏切)は、かつて河戸駅が所在し、先述した通り、広島市はここまでの直流電化を望んでいた。今回の鉄路復活に伴い、ホームは撤去されたが、駅舎と駅名盤は、あき亀山駅から徒歩5分のふたたびの宮に移設された。
■新しい終着駅、あき亀山
クルマの送迎に対応したスペース。欲を言えば、広島交通バスの荒下県営住宅停留所をここへ移転及び改称して、乗り換えやすい環境を整えてほしい。
あき亀山は、県営荒下住宅跡地の一角に設けられた無人駅。留置線があり、翌朝の運行に備えている。これに伴い、可部は旧1・2番のりばがお役御免となった。蛇足ながら、現在の可部駅1番のりばは、旧3番のりばの上りホーム。2番のりばは、新設の下りホームである。
あき亀山駅前には、駐輪場やタクシープールが整備されている。2022年には安佐市民病院が、この付近に移転される予定だ(一部の医療機能は、現在地に残す)。クルマを運転できない人にとって、“エキチカ病院”は「朗報」と言える。
近くには市立亀山中学校があるほか、駅周辺では宅地開発が進められている。可部―三段峡間の廃止後、安佐北区の人口が増加しており、今回の鉄路復活につながった。
あき亀山から先の鉄路復活はない。しかし、ここから先は廃線のレールがまだ残っていた。“素敵なモニュメント”として、これからも後世に語りかけるかのように。
取材・文/岸田法眼