■こたつの浸透しない理由2:オイルヒーターで部屋が暖かい
日本の冬を知った外国の方が“こたつ”に惚れると同時に、物足りないと感じてしまう理由があります。
それは、「日本にはオイルヒーターがない」ということ。
もちろん、従来の石油ストーブなどと比べて、利便性や安全性が高いとされるため一般家庭に導入される例もありますが、賃貸のアパートでも初めからオイルヒーターが備え付けられているヨーロッパ諸国に比べれば、日本での浸透率は格段に低いはずです。
エアコンの風のように喉を傷めるおそれもありませんから、オイルヒーターは就寝中につけっぱなしでも問題ありません。
また、風ではなく熱を本体全体から発するので、部屋全体がぽかぽかと暖かくなり、暖房の前だけが暖かいなんてこともありません。
だから、そもそもオイルヒーターで部屋全体が暖かいので、こたつにくるまる必要性を覚えないのです。床暖房のある家も多いです。
つまり、“こたつ”が日本の冬に欠かせないように、オイルヒーターはヨーロッパ人の生活に欠かせないものなのです。
■こたつをヨーロッパで広めるための提案
ならば、どうしたら“こたつ”はヨーロッパにおいて広く受け入れられるのでしょうか?
調べてみると、スペインのアンダルシア地方には、“Mesa camilla”と呼ばれる椅子に座って使うこたつが存在するというのです(Wikipedia)。
CC BY-SA 4.0|De Santi77a – Trabajo propio
また、ベッドの下に敷いてベッドを温めるマットも一般家庭で見かけられます。
つまり、局所的な暖房効果を発揮する器具に強い警戒があるというわけではなさそうです。
ならば、これまで“こたつ”開発で培った知識や技術を総動員して、「地べたに座らず」、「オイルヒーターを日常的に利用する」ヨーロッパ諸国にも受け入れられる新たな暖房器具を作ってみるのはどうでしょうか?
そもそも“こたつ”が受け入れられる必要があるかどうかは分かりませんが、いまいち元気のない日本から、かつてのウォークマンのようにもう一度世界をあっと驚かせて定着するような製品が誕生したら、それはとても面白いことではないでしょうか?
文/諸原龍之介
※記事内のデータ等については取材時のものです。