■ワイヤレス充電や「eSIM」普及の起爆剤となるか
石川氏:この10年のiPhoneの進化を振り返ってみると、フィーチャーフォンがやってきたことをそのまま追いかけてきたに過ぎない気がする。まさかこのタイミングで、ワイヤレス充電の「Qi」(チー、ワイヤレス給電の国際標準規格。ドコモが「おくだけ充電」として端末に搭載したワイヤレス充電機能と同様のもの)がこんなに注目を浴びるとは思わなかった。
法林氏:今回の「8/8 Plus」と「7」の最大の違いは、ワイヤレス充電としかいいようがない。
石野氏:「Qi」は充電速度が遅くないですか?
法林氏:昔の「おくだけ充電」に比べれば格段に速い。
石野氏:それに比べればいいですけど、Galaxy S8/S8+なんかと比べると、ちょっと遅い感じがする。確かiPhoneはまだ5ワットでの充電なんですよね。
石川氏:年内にアップデートして、少し速くなる。
石野氏:どういうアップデートなんでしょうね。
法林氏:今は受け側のキャパシティを制御しているんじゃないかな。○○ワット以上は通さない、という感じにしているんだと思う。充電台がアップデートすることはないと思うから、アップデートで受け側(iPhone)の制御を止めるんだと思う。
石川氏:でも、なぜ今、制御しているんですかね。
法林氏:安全のためじゃない?
房野氏:爆発するとか?
法林氏:たぶん熱を心配しているんじゃないかな。そもそもワイヤレス充電は置きっぱなしにしていると危ない。
石川氏:謎なのが、「Qi」を採用しているという割に、アップルがいろいろ動いているらしいこと。アップル純正のワイヤレス充電器「AirPower」も、今はないけど、来年は出るという話だし。
石野氏:単に採用したいからというよりも、アップル仕様に変えていくために、「ワイヤレスパワーコンソーシアム」(ワイヤレス給電技術の国際標準規格を策定する業界団体)に入ったのかもしれません。
石川氏:アップルが「Qi」に本気になったことによって、「Qi」で充電できる場所が広がるだろうし、対応機器も増えるはず。「Apple Watch」が「eSIM」(イーシム、組み込み型SIM。通常のSIMカードのように差し替えることはせず、基板等に固定されるチップ型SIM)を採用したことでeSIMも広がるだろうし、振り返ればLTEだってアップルの功績が大きい。アップルに業界の主導権を握られている感じがしますね。
石野氏:今、主流のnanoSIMもiPhoneからでした。
房野氏:eSIMは通常のSIMカードより小さくできて、情報の書き換えが通信経由でできるのが便利ですから、広まっていきそうですね。