眠れない、寝つきがよくない…。そんな秋の夜長が続いていないだろうか? もし思い当たるなら一つ提案したいことがある。それはコーヒーを活用することだ。しかし、コーヒーにはカフェインが多く含まれているため、飲むと覚醒を促してしまう。しかし、香りにはリラックス効果があるといわれているのだ。そこで、眠りやすい香りの選び方や、眠りを促したいときに実践したい、コーヒーを使った入眠テクニックを、コーヒーの香りに詳しい大学教授に聞いた。
■コーヒーの香りで眠りやすくなる理由とは?
眠れぬ夜にコーヒーを活用するというのは、いったいどういうことなのか。そもそも、コーヒーに含まれるカフェインは頭を覚醒させ、寝つきを悪くする。しかし、その香りにはむしろ心地良い眠りにつくために役立つ成分が含まれているというのだ。杏林大学の古賀良彦名誉教授は、コーヒーの香りの効果についてこう語る。
「コーヒーの香りについて、10年ほど行なった実験では、コーヒーを豆から淹れた直後のコーヒーの香りには、脳がリラックスしている状態で多く出現する“α(アルファ)波”を増やす効果があることが分かりました。とくにブルーマウンテンやグァテマラの豆は、他の豆よりも多くα波が見られました」
では、リラックスできるコーヒーの香りをかげば、眠りにつきやすいということなのだろうか?
「香りの感じ方には個人差が大きいため、必ずしもリラックス効果が得られ、眠りやすくなるとは限りません。好みもある程度、反映されます。また、コーヒーの中には、リラックスとは反対に、脳を活性化してしまう香りを持つコーヒー豆もあります。例えば、ハワイ・コナやブラジルサントス、マンデリンなどです」
■脳にとって「眠りやすい香り」と「覚醒を促す香り」
古賀先生によれば、そもそも脳にとって眠りやすい香りと、覚醒を促す香りは、具体的に次のような香りだという。
【眠りやすい香り】
・自分の好みの香り
・フローラル系の香り
・甘い香り
・刺激の少ない香り
【覚醒を促す香り】
・爽やかな香り
・柑橘系の香り
・刺激のあるツンとした香り
これらの香りは、それぞれ脳に作用し、心理的な影響をもたらすのだという。
つまり、神経が高ぶっていて眠れないときなどは、自分好みの香りやフローラル系、甘い系などの、まろやかで優しく、刺激の少ない香りを選ぶのが良いというわけだ。
コーヒーの香りの中でも、最も自分がリラックスできる、お気に入りの産地のコーヒー豆を見つけるのも良いだろう。