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心を込めるなら絶対に手書き!万年筆で書くお礼状の流儀

2017.10.16

メール全盛の時代とはいえ、やはり万年筆の味わいは代えがたいもの。特にビジネスマンのマナー「お礼状」では、その差が歴然です。ぜひ大人の流儀を習得しよう。

「万年筆でしたためた手紙には、“自分”が如実に表われるね」

映画プロデューサー 阿部秀司さん

映画プロデューサー
阿部秀司さん
1949年生まれ。慶應義塾大学卒。映像制作会社ROBOTの創業者・顧問、阿部秀司事務所の代表取締役。『ALWAYS 三丁目の夕日』や『永遠のゼロ』、『STAND BY ME ドラえもん』など数々の映画をプロデュース。
http://www.abeshuji.co.jp/

 映画プロデューサーという仕事は、多くの人間と関わり、人と人をつなぐ仕事だ。ゆえに阿部秀司さんは、非常にたくさんの礼状を書く。

「自分もそうだけど、万年筆で書かれた礼状はもらってうれしいよね? だったら自分も万年筆で書くべきだと思う」

 中学生の頃からかれこれ50年以上、万年筆を手にしているという阿部さんいわく、「万年筆で書いた手紙には、自分が出てしまう」という。

「メールを打つのはどんな格好でもできるけど、万年筆でしたためる時は、自然に背筋が伸びている。直筆の手紙には、自分が如実に表われるとわかっているから、緊張するんだろうね」

 礼状を万年筆でしたためる際は、下書きをしない。

「例えばパソコンで下書きして、それを写し取れば効率的なんだろうけど、それでは敬意が伝わらないような気がするんです。考えながら、その時の自分の感謝の気持ちを正直に記す。失敗したら書き直せばいいだけ」

 だが、「字を書く」という行為自体に慣れていない人も多い。

「主文だけはワープロで打ってしまうという手もあります。私も、例えば映画のチケットをお世話になった方々にお送りする際は、礼状の本文は印刷してしまいます。その代わり、お送りする方に対して、必ず数行のコメントを万年筆で書き添えます。これなら思いも伝わりますし、実行可能じゃないですか?」

 映画はディティールが勝負だと阿部さんは考える。だから同じように礼状も、労力はかかっても、細部にこだわるのだ。

「先日、『ブラインドタッチができないですかぁ』って笑われましてね(笑)。皆さんもできるんでしょ? 字も同じ。『習うより慣れろ』で回数書いていれば、字はうまくなる。何でもそうだけど、リスクを避けては、何も生み出せません。今の時代、ブラインドタッチよりも、字がうまいことのほうが、他人の印象に残ると思うけどね」

映画プロデューサー 阿部秀司さん
主文は秘書にタイプさせるが、必ず4行以上の肉筆を付け加えるのが、阿部さんの流儀。「万年筆を握る、この緊張感がいいよね」

映画プロデューサー 阿部秀司さん
30年以上愛用する『モンブラン・マイスターシュテュック149』(黒)と、黄色が斬新なイタリア製万年筆『アウロラ・イプシロン』。

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