■ボランティアとお金
ここまで読んで、ボランティアに興味を持った読者がいれば幸いだ。しかしボランティアにも様々な種類があり、なかにはハードルの高いものもある。その最たる例が被災地ボランティアだ。
数年前、当時まだ学生だった筆者は東日本大震災の被害を受けた宮城県石巻市へ被災地ボランティアに出かけた。「行ってみようか」と思い至った勢いで数万円を主催団体に支払い、マイクロバスに乗りこんだ。同行する仲間たちと打ち解け、マイクロバスで過ごす時間は楽しいものだったが、現地に着いて驚いた。
津波や地震が残した爪跡を目の当たりにして、言葉がなかった。筆者の覚悟や思いが足りなかったと言われればそれまでだが、マイクロバスでの楽しい気分が一気に吹き飛んだのを覚えている。
また、被災地の人々との交流も思い描いていたものではなかった。明るく接してくれる人もいれば、暴言に近い言葉を言われたり、まったく心を開いてくれなかったり、辛い現実に余裕を失っている人々もいた。被災した人々の気持ちを本当に理解して活動しなければ、いくらボランティアでも迷惑な存在になる。