■連載/AIの“現場” AIは未来の奴隷か!?労働から解放された人間はどこへ向かうのか?
最近、「人工知能(以下、AI)」「ディープ・ラーニング」「機械学習」といった言葉をニュースで見ない日はない。しかし、そもそも人工知能とは何か? 何となくわかったつもりでこれらの言葉を使っていたけれど、実はよく知らないという方も多いのではないでしょうか? 本連載では時代の潮流となっているAIを正面から捉え、製品化されたもの、開発途上のものも含めたAIの現状、AIが汎用した近未来はどのような社会になるのかを具体的なエピソードとともに紹介します。
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インターネットの登場により可能になった膨大な量のデータ収集、それを処理するコンピュータの計算速度の向上。これまでの技術の積み重ねに基づくディープ・ラーニング(深層学習)等の進化————。日本の人工知能(以下・AI)研究の第一人者、東大大学院情報理工学系研究科の中島秀之特任教授は汎用AIの浸透で、急速に世の中は様変わりすると予言する。
そんな指摘で連想するのが、レイ・カーツワイル(実業家・発明家・米国)が唱えたシンギュラリティ(技術的特異点)。2045年前後に人工知能が人間の能力を超え様々な出来事が起こるであろうという説だ。
AI研究の第一人者、東大大学院情報理工学系研究科 特任教授 中島秀之氏。
■毎年、“あっ”と驚くことが
「でも2045年というのは、コンピュータの計算速度の進化に当てはめた仮説であって、あまり意味はないと私は思います」
中島教授は言葉を続ける。
「例えば、AIが囲碁の名人に勝てるのは30年先、将棋は10年先とか言われていたのに、ここ1〜2年で名人を破ってしまった。科学技術の進歩がイノベーションを起こし、我々の生活が変わっていく、そのペースがこれまでと同じだと、考える方が難しい。AIに関して今、グーグルやアマゾン、フェイスブック等が突っ走っていますが、毎年何か“あっ!!”と驚くすごいことがあると思っていた方がいいでしょう。私はこのペースでAIが浸透すれば、5年ほどで社会はガラッと変わるのではないかと思っています」
野村総合研究所の未来社会の試算では、日本の労働人口の49%が、AIに代替可能だと予測する。AIに取って代わられる仕事は定型型で、創造性やコミュニケーションが必要ない職業。さらにバスやタクシー、電車の運転手も自動運転技術が投入されるであろう。