
朝の「2度寝」が悪しき生活習慣ではなく、良き生活習慣だとしたら、諸手を挙げて喜ぶのではないだろうか。睡眠コーチとして、「2度寝」や「昼寝」を含めた“愛眠”を提唱する雨晴クリニック副院長の坪田聡氏に話を聞いた。
「夜の睡眠がしっかり確保できていることが前提になりますが、『2度寝』を取り入れることを推奨しています。2度寝の時間は10~15分前後。これにより、コルチゾールを体全体に行き渡らせることができます」
コルチゾールとは、ストレスに対抗する働きを担っているホルモン。このホルモンの分泌量は起床直前にピークを迎え、起床後は徐々に減っていくという。
「起床後すぐに活動を始めてしまうと、コルチゾールが体全体に行き渡っていないので、些細なことでもストレスを感じやすい体になってしまいます。逆に、『2度寝』の時間を取ってコルチゾールを体内に浸透させると、ストレスを感じにくくなります。上司の身勝手な言動など、日常のストレスから解放されるだけで、仕事への集中力は高まりますし、結果、作業効率の向上にもつながるでしょう」
また「昼寝」にも、「作業効率を向上させる効果がある」と断言する。
「眠気のピークは、昼と夜、1日に2回訪れます。昼は、夜ほどには眠気は襲ってきませんが、それでも14~16時にピークがきます。ですので、この時間帯に眠たくなるのは自然なことなんです。ただし、深い睡眠はタブー。30分以上の深い眠りを取ってしまうと頭が重くなり、逆に仕事へ悪影響を及ぼしてしまいます。必ず15~20分程度にとどめるようにしてください。短い時間でも頭は十分スッキリしますから、午後の仕事にも集中して臨むことができますよ」
「2度寝」と「昼寝」が、日中の活動の質を高めてくれるのなら、これは早速取り入れたい!
■坪田 聡先さん
富山県にある雨晴クリニック副院長。ヘルスケア・コーチング研究会・代表世話人。睡眠障害の診療に取り組んでいる。著書に『朝の「二度寝」でストレスが消える!』(かんき出版)など。