◎AV市場で世界をリードしたパナソニック
このような時代を背景に、パナソニックは次々とヒット商品を生み出していく。テレビは『画王』や『タウ』、そして現行商品である『ビエラ』へ。さらにビデオカメラやレコーダーのデジタル化の勢いも増し、同社のシェアは大きく拡大した。
ハリウッドの映像技術も積極的に取り入れ、映画製作のトレンドもいち早く家庭向けに取り込んだのもパナソニックが他社に先駆けてきた。その後、同社はAV機器において世界をリードすることになる。
ジョージ・ルーカスを起用したパナソニックのイメージ広告が、内外に大きく作用したのだ。
「この先進性に引っ張られるように、当社のAV製品に先進機能が次々と開発、投入されていきました。AV製品は全般にデジタル化が進行し、その結果、テレビは大型化していきました。ビデオカメラは反対に小型・軽量化と高画質化が同時に進み、男性から女性でも手軽に扱えるようになりました」(前出・楳谷さん)
2007年になると、白物家電においてもパナソニックが使用され、そして翌年2008年に社名にも起用されることになった。この頃、AV機器から始まったデジタル化の流れは白物家電にも導入されていた。さらに数々のセンシング機能とも複合し、革新的な製品が続々と登場することになった。
例えばエアコンは室内の温度を細部までセンシングし、部屋のどこにいても、その人にとって快適な温度の風を送風することを可能にした。また性能はそのままにコンパクト化を追求した食器洗い乾燥機やドラム式洗濯機なども若い世代への訴求につながったという。
◎オリンピックのパートナーとして、さらに進化する
さらに同社のブランドを世界に強く印象づけたのが1988年以降サポートを続けているオリンピックとのパートナー契約だ。これは一般消費者向け製品にとどまらず、同社に多くの技術革新を実現させた。
放送分野はハイビジョンから4K放送の実現へ向けて進み、様々な製品においてすでに2020年を見据えている。
新しい時代を作るためなら、社名の変更もいとわない。いつでもチャレンジを恐れない。
創業者・松下幸之助の哲学は確実に未来へ受け継がれている。
パナソニック アプライアンス社
コンシューマーマーケティング ジャパン本部
コミュニケーション部 部長
楳谷秀喜さん
長年宣伝を担当し、パナソニックブランドの訴求にも尽力した。
■ワールドワイドで展開
パナソニックは、毎年年始に、米国ラスベガスで開催される世界最大の家電製品の見本市CESに出展。最大級の大型ブースを展示し、その存在感をアピールしている。今年はオリンピックの開催年にあたり、一層熱がこもっていた。
■2020年に向け、様々な事業でパナソニックの独自技術が開花!
LED光源の高速点滅によりデジタル信号を発信、専用のアプリケーションをインストールしたスマホなどで関連情報を表示できる「光ID」。空港やターミナル駅などのディスプレーなどにかざすだけで道案内や展示品の解説などを表示できる。
日本語を外国語に自動的に翻訳し、拡声器より発する『メガホンヤク』。試作機は、英語、中国語や韓国語に対応でき、空港やイベント時の警備などで実証実験を始めている。