これまで数々のヒット商品を生んできたパナソニックは来年、創業100周年を迎える。「パナソニック」ブランドが日本国内で使用されてから、昨年30年を迎えた。その輝かしい足跡を追った。
●松下幸之助が「国民の」という意味を込めた「National」
松下電器産業(当時)が長らく使用していたNationalブランドは、86年を境に徐々にPanasonicへと転身を遂げることになった。
●より斬新なブランドへ —— 世界のパナソニックへ
国内で初めてパナソニックブランドを付した商品は自転車。当時、欧州で人気を博しており、国内にも展開し、翌年からは「パナソニックオーダーシステム」という画期的な自転車製造・販売方法が注目された。
◎パナソニックの30年はイノベーションの連続だった
パナソニック。言うまでもなく、誰もが知っている日本を代表するメジャー企業だ。家電製品のみならず、産業ロボットや防犯カメラ、旅客機の座席モニターなど数々の業務用市場でも圧倒的なシェアを誇っている。
1986年、それまでナショナルを使用していた国内向け製品の一部に、北米向けの高性能スピーカーの商品名だったパナソニックが使用されてから、昨年で30年を迎えた。
ナショナルからパナソニックへの移行期より、宣伝業務に携わってきた同社・楳谷さんは、当時の様子をこう話す。
「北米においてパナソニックというブランドを使用したのは1955年に遡ります。当時、北米ではナショナルと言うブランド名を他社がすでに使用していたことから起用した名称でした。その後、欧米向け商品に拡大をしていましたが、国内で使用し始めたのが1986年でした。その第1号は自転車です。当時、パナソニックの自転車レースプロチームはツール・ド・フランスで大活躍をして、日本でも話題になり始め、そのイメージを訴求したい、という理由からでした」
そして自転車に次いで起用されたのがMSXのパソコン、そしてテレビやビデオレコーダー、ビデオカメラなどAV製品だった。当時、AV市場はアナログからデジタルへ、大きな転換期を迎えつつあり、市場が急拡大しようという時期だった。
従来のナショナルは白物家電のイメージが強い。そこでより斬新で、革新的というイメージを持つパナソニックブランドの起用を決めたのだという。
当時、“家電の王様”と称されたテレビ市場には次々と新たなトレンドが登場していた。
同社もブラウン管としては大型の29型以上の商品に人気が高まり、現在の大画面テレビの源流となっている。またフラット画面化やワイド画面化へと歩み始めていた。これに伴い、性能も向上させ、高画質化も推し進められてきたのだ。
さらに、大胆な広告戦略に打って出た。1987年、AV機器の広告に、ジョージ・ルーカスを起用し、『スター・ウォーズ』のキャラクターも登場させた。新たなAV市場の大波は、パナソニックで訴求する斬新で若々しいイメージが見事にマッチし、同社のAV事業は躍動した。