■秋の冷えは自律神経や夏気分が原因のことも
冷え対策に詳しい健康予防管理専門士の今村珠紀さんによると、秋の冷えの原因は、ただ涼しくなることだけではないという。
「秋は自律神経が乱れやすいため、冷えが起こりやすくなります。秋に自律神経が乱れやすいのは、夏から秋にかけて急な気温変化があることや、気圧の変動の激しい季節であること、そして夏に長時間に渡り冷房環境下にいた場合には、それも原因になると考えられます。
自律神経を整えるには、規則正しい生活、十分な睡眠、軽い運動、入浴法などさまざまな方法がありますが、マッサージも効果的な方法の一つです。首は温めるだけではなく、マッサージもするとさらに効果的です。頭部のツボ刺激も自律神経を整える効果があります」
秋の冷えの原因には他にも次のことが考えられるという。
「夏の感覚を引きずったまま、冷たいものを食べ過ぎたり、薄着で知らず知らずのうちに体を冷やしてしまっていたりすることもあるので注意が必要です。体が熱を作るにはある程度のカロリーが必要なので、必要な栄養素をバランスよく摂り、意識的に体を温める食材を取り入れるといいでしょう」
■腹式呼吸で冷え対策
今村さんは、さらなる秋冷え対策の方法として腹式呼吸を勧める。
「腹式呼吸は、代謝を高めることで体を温め、さらに自律神経を整える効果があります。職場でも自宅でも、いつでもどこでもわずかな時間で気軽にできるので、一日に何回か実践することをおすすめします」
●腹式呼吸のやり方
1.姿勢は立ち姿勢、仰向け、椅子に座った状態、どれでもOK。姿勢を正して目を閉じ下腹部に手を当て、まずは息を口から完全に吐き切る。
2.お腹が膨らんでいくのを感じながらゆっくりと鼻から息を吸って、吸い切ったら、2~3秒息を止める。
3.吸った秒数の倍の時間をかけて、口をすぼめるように、少しずつ細く長くゆっくり、お腹がぺしゃんこになるのを感じながら口から息を吐き切る。
4.1~3を数回繰り返す。
・目を閉じて、吐くことに意識して行うのがポイント。
取材協力
今村 珠紀さん
健康予防管理専門士。東京理科大学基礎工学部生物工学科免疫学専攻。生命科学研究所在籍中に過労で倒れ寝たきり車椅子生活を余儀なくされたが、奇跡的に社会復帰を果たす。それをきっかけに冷えと向き合うことになる。体調不良で苦しむ人がQOLをあげて人生を楽しむことを応援している。
http://pokatama.com/
取材・文/石原亜香利