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隈研吾氏が提案する屋内墓苑「千日谷浄苑」は新しい墓の形となるか?

2017.09.08

■連載/阿部純子のトレンド探検隊

◆50年前に高層式の墓を導入した一行院が、時代にマッチした新しい墓を提案

 明治神宮に隣接する信濃町の「浄土宗一行院千日寺」は、慶長の末(西暦1600年代初頭)に、譜代大名であった永井直勝によって建立され、およそ400年の歴史を持つ。直勝の没後、菩提を弔うために千日を単位とする万日回向の常念仏が行われるようになり「千日寺」と名付けられ、その周辺は千日谷と呼ばれるようになった。

 昭和39年(1964年)の東京オリンピックに際し、一行院は首都高速道路建設に用地を提供、2000坪以上あった土地が半分以下になった。その際に葬儀場である千日谷会堂と納骨堂の仏舎利塔を建築したが、老朽化、耐震化から建替えとなり、開山400周年記念「千日谷淨苑」プロジェクトとして、建築家の隈 研吾氏、ヒューリック、竹中工務店、はせがわのコンソーシアムを結成。隈氏が新国立競技場の設計が決まる1年以上前の2014年夏にプロジェクトが開始され、2015年から2年10カ月をかけて本堂と千日谷淨苑を竣工。新しいスタイルの自動搬送式の屋内墓苑が、新国立競技場の玄関口にある信濃町に完成した。

「日本人は御遺骨に特別な気持ちを持っている。自分が今ここに存在する源となったご先祖の対する感謝の気持ちを大切にしており、墓石には個人の名よりも○○家の墓と一族の名前を刻み、亡くなった家族やご先祖と同じ墓に入り、残った方が代々お墓を守っていく文化が日本にはあった。しかし時代が変わり、自分が亡くなったらこの墓はどうなるだろうと、お墓参りをしても安らいだ気持ちにならない、遠方にあってなかなかお墓参りもできないと現代ならではの事情が生じ、私たちも問題意識を持っていた。

 昭和39年に建立された一行院の納骨堂は、土地の狭い都心という事情から、従来は広い敷地に並んでいたお墓を縦に積み重ねて、ロッカー式のお墓を備えた高層式の納骨堂(下記写真)だった。

 当時としてはとても斬新であり、50年前から新しいお墓の形を提案した歴史があった。時代を経て、開山400年を迎えさらに時代に調和したお墓をという願いで作られたのが千日谷淨苑だった」(一行院 住職 八百谷 匡夫氏)

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