■腎を弱らせないための生活習慣
腎を弱らせないためには、普段からどのようなことに気を付ければいいのか。寺林さんは次のことを教える。
●塩分を控える
「体には体液や水分量を一定に保つ働きがあり、塩分を摂りすぎると体液の塩分濃度が高くなります。それを薄めるために水分が必要になり、血液量が増えます。すると血管に負担がかかり高血圧になります。そしてその血液をろ過する腎臓の仕事も増え、腎臓が疲れ、腎機能低下につながります。このことから、塩分は控える必要があります。外食でラーメンやそばを食べても、スープやつゆは飲まない、味噌汁も全部は飲まないなど工夫することが大切です」
●適度な運動をする
「激しい運動というと心臓に負担がかかるイメージがありますが、心臓だけでなく、血液をろ過している腎臓にも負担がかかります。かといってまったく運動しないのもよくありませんので、15~30分くらいは歩くようにしましょう。むずかしければ、通勤時は駅のエスカレーターや、会社のエレベーターではなく階段を使うよう頑張ってみしょう」
●排尿時に腎臓を意識し、いたわる
「ちょっと食べ過ぎたと思えば胃が気になり、お酒を飲み過ぎれば肝臓が気になるという人は多いと思いますが、腎臓を気にする人はそんなに多くないと思います。ビールなど、お酒を飲むとトイレが近くなります。飲んだ帰りの電車などで、おしっこを我慢した経験がある人も多いでしょう。
アルコールを解毒してくれるのは肝臓ですが、尿をつくってくれているのは腎臓です。用を足しているときに『腎臓さん、ありがとう』と心の中で思うことで、腎臓の存在を感じることができ、いたわることにつながります。
腎臓は沈黙の臓器といわれるように、血液検査で引っ掛かったときにはすでに腎臓病です。最近なんだか疲れがとれない、からだが重だるい、冷えやむくみがきついといった症状がある人は今のうちから腎臓をいたわってあげましょう」
取材協力
六本木・寺林治療院院長 寺林 陽介さん
1996 年にあんまマッサージ指圧師、鍼師灸師の国家資格を取得し、父の治療院で本格的に修行を開始。24 歳のときから一人で治療院を運営し、現在に至る。2008 年には南青山でも紹介制・完全予約制の治療院を開設し、2014 年 4 月、東京都港区六本木に移転、患者に心から満足してもらえる治療院を追及している。どこに行ってもらくにならなかったという患者ほど違いを実感する「疲れとりマッサージ」を行い、多くの著名人から評判を得ている。著書に『疲れをとりたきゃ 腎臓をもみなさい』(アスコム)、『「シワ・たるみは90秒でとれます!」顔リフト革命』(主婦の友社)がある。
取材・文/石原亜香利