40歳は女が死ぬ年齢ではないかと感じる。
2016年11月に“こじらせ女子”で知られたコラムニスト・雨宮まみさんが40歳でこの世を去った。彼女の『40歳がくる!』というコラムの冒頭は“「40歳になったら、死のうと思っていた。」桐野夏生『ダーク』の有名な冒頭の一文である。”で始まる。
■女の苦しみの根源は、女であることなんだよ、きっと
私は40歳になった。20歳から20年間、女性誌を中心に仕事をして、東京に住む女性が何を買って、何に注目して、何に悩んでいるかをインタビューし続けてきた。これはジャーナリズム的な探求心ではなく、締め切りがありページや原稿のおもしろさがランキングされ、つまらなければ切られるという、編集&ライターの仕事だから続けてこられたのだ。
とはいえ、おそらく1万人以上の女性と密接に話すうちに、女性の悩みの根源が、“女であること=出産できること”ということがつかめてきた。
幸せな恋愛・結婚・出産・家庭を切実に求めるのも生殖と出産機能がある女だから。
生殖行為を誘発するために“モテ”を意識した言動や服装をしなくてはいけないのも女だから。
より優れた遺伝子を得るために、遺伝子の相性がいい男性を求めてしまうのも女だから。
しかし現代社会では遺伝子の相性がいい相手ではなく、高収入で容姿がよく安定した勤務先の男性でないと社会ではエバりが効かないことを感じ取ってしまうのも女だから。
男性よりも安くて便利な労働力として使われてしまうのも女だから。
羅列した“女だから”の悩みの根源は、女側が過剰に意識し、自縄自縛しているケースが多い。それは、親からの愛情という名の呪いだったり、社会からの評価依存だったりする。
考え方や体の状況には個人差があり思い通りにならないこともあるだろうが、30代までは自然妊娠や出産の可能性が残されており、それらの呪縛にとらわれているのもいい。
しかし40歳になったら、女から解放されたい。切実にそう願った私は、40歳になったら、女をやめようと思った。そのためには具体的にどうするか。私の性的対象は男性であり、女性と性行為をすることにも興味が持てない。いろいろ考えた結果、坊主頭になることにした。