■顔や首はあおがない!? 浴衣着用時のエレガントでマナーあるあおぎ方
そして気になるのが、あおぎ方。西出さんに、浴衣などの着物を着ているときのマナーあるあおぎ方を教えてもらった。
「浴衣や着物を着ているときには、袖(そで)から風を入れるようにします。こうすることで、自分の体温は下がりますし、パタパタと動かす位置が胴回りになりますので、人様の顔に扇子が当たるような危険も避けられますね。これがイコール『マナー』。相手への気配り、思いやりになります。そして、さらに自分もエレガントに振る舞うことができ、周囲からの評価が高くなります」
そして西出さんは、マナーについて次のように教える。
「マナーは、まずは、相手への配慮、相手優先ですが、結果的に自分にもプラスが返ってくる、WIN-WIN、HAPY-HAPPYの関係を構築するものです。どんなに自分が暑くて、風が欲しいと思っても、まずは、その場所や状況を考えて欲しいと思います。自分の欲のためだけにむやみに扇子であおぐ行為を控えることで、自分自身にプラスの出来事が起きると思います。もちろん、周囲の人が望むときには、あおいで差し上げることは良いことです。マナーはあなたがハッピー、幸せになるためにあるのです。相手への思いやりの気持ちを『型=所作』で表現をする、それがマナーの本来の意味です」
■浴衣着用時のエレガントな所作
夏に花火大会や祭りなどで着る機会がある浴衣。しかし慣れない浴衣ゆえに、どうしても所作がカッコ悪くなる。いつものように身動きしてしまうと、浴衣が崩れてしまうことも。そこで西出さんに、エレガントな所作を教えてもらった。
1.かがみ方
「頭のてっぺんから腰にかけて上体をまっすぐにしたまま、右足を半足退き、右足を折ってかがみます。こうすれば着物がくずれません」
2.立ち上がり方
「右足に重心をおいて、頭のてっぺんから腰にかけてまっすぐにして立ち上がります。このとき左足を後ろに引くと、“退く印象”を与え、謙虚さを表現できます。
ただ本来は、進む方向に応じて右足を出しても間違いではありません。控え目でエレガントな所作という観点からすれば、左足を退くほうをおすすめします」
3.椅子の座り方
「(1)1の動作でかがみます。このとき、ヒップ下のあたりに手をそえるとエレガントに見えますが、そえなくても美しく座ることができるのが上級者です。
(2)座っているときには、左足を退いて右足にそろえます。このとき、なるべく足元が裾に隠れて見えないほうがエレガント。足を強調しないほうが素敵です」