7月初旬から中旬にかけて贈られるお中元。今年はどんなものを選んだだろうか。まだ選んでいる最中、もしくは、これからという場合、一度どんなものが喜ばれるのか、トレンドのお中元を確認しておこう。マナーの専門家に、もらってうれしいお中元とあげてはいけないお中元を教えてもらった。
■もらってうれしい定番のお中元
まずは、一般的なお中元をおさらいしておこう。定番のお中元の中でも、もらってうれしい品にはどんなものがあるのだろうか。マナーコンサルタントの川道 映里さんはこう教える。
「一般的には、ビールなどのお酒類やお菓子類です。特にこの時期に美味しいビールは、原料や醸造方法にこだわった高級志向のプレミアムビールや、地方の地ビールを贈ると喜ばれます。また、うなぎやそうめんのような夏らしいグルメや、タオル・洗剤などの実用品のセットも、相手の年齢関係なくもらってうれしい定番です」
しかし、これらの一般的によろこばれる品物を選んだとしても、必ずしも正解とは言えないこともある。
「大切なことは、自分が贈りたいものではなく、贈られた相手が喜ぶものを贈るということです。例えば、お酒が苦手な方にビールを贈っても相手には喜ばれません。ですから、相手の年齢や生活状況、家族構成や職場環境などを考慮した上で、相手の立場に立って品物を選ぶことがマナーといえます。相手のことを考えながら品物を選ぶのも、お中元を贈る愉しみの一つといえるでしょう。
また、お中元に込められている『夏の挨拶』『日頃お世話になっている感謝』『暑い夏にお体は大丈夫ですか』という相手への感謝と気遣いが込められているかどうかも大切です。品物と一緒に、ご自分や家族の近況を伝えるなど、相手とのコミュニケーションの一つとしてほしいと思います」
■贈ってはいけないお中元
もらってうれしいお中元の品は、ぜひ相手の立場に立って選ぼう。そのためには、反対に贈ってはいけないお中元も知っておきたい。
「相手に応じて異なりますが、一般的に贈らないほうがよい品物は、包丁やはさみなどの刃物類です。これらからは“切る”が連想されるため、“縁を断ち切る”という意味で捉えられる場合があります。同様にハンカチも“手巾(てきれ)”から“縁を切る”につながるため、避けたほうが良いでしょう。
その他、宝石類やアクセサリー、下着など身につけるものは、家族や恋人、婚約者以外には贈らないのがマナーです。また、“踏む”“踏みつける”をイメージさせる靴下や靴は、目上の人には贈らないようします。さらに、“より勤勉に”という意味がある時計・文房具・筆記用具も、できれば目上の人には贈らないほうが無難でしょう」
商品券などの金券については色々な見解があるが、贈ってもいいものなのだろうか。
「現金や商品券、ギフト券は“金銭に困っている”という意味合いがあるため、基本的には贈らないほうがいいです。ただ、最近では“相手に何を贈ればよいか分からない”、“もらった人が自由に好きなものに使えるので喜ばれる”といった理由で、商品券を贈る人が増えています。しかし、マナー的にはあまりお勧めできない場合もあるので、代わりに相手が好きなものを選べるカタログギフトにしてはいかがでしょうか」