東海大学ライフケアセンター・センター長の石井直明氏は、今回の調査結果について、以下のようにコメントしている。
冬だけでなく、夏にも体調不良がよく見られますが、その主な原因は、自律神経のバランス悪化と栄養不足で、免疫力の低下が関係しています。対策としては、睡眠や運動、水分補給などに気を付けて自律神経のバランスを保つこと、ビタミン・ミネラルなどを豊富に含む食事に心がけ栄養バランスを保ち、免疫力を低下させないことが重要です。
1つめの原因、自律神経のバランスが悪くなることについて説明すると、例えば、炎天下での運動や外出、あるいは睡眠不足による体力の低下、エアコンの効いた部屋と暑い場所への行き来などにより自律神経のバランスを崩します。2つ目は、栄養不足です。食欲不振から体力低下を引き越すと同時に、栄養のアンバランスが生じます(例えば、胃腸の働きが弱くなるのでさっぱりした食事を好むようになる)。暑さから、体内に熱がこもりやすくなり、汗の放出を促し、代謝のバランスが崩れます。こういったことなどから、本人が気づかないまま水分不足を引き起こします。特に高齢者は気づきにくい傾向が見受けられます。
しかし、夏の体調不良におすすめの対処・予防法など、一般家庭でできる方法もあります。第一に栄養です。栄養バランスを保つことが重要と考えています。代謝が高くなることによりビタミン・ミネラルをいつも以上に必要となるので野菜を豊富に摂り、食欲が落ちない工夫してください。ただ、夏場には夏バテなど食欲がないときには難しいかと思いますので、そこをどう工夫するかですね。現代は新鮮で旬な野菜を多く摂る機会が減ってしまっているので、時には、栄養補助食品でビタミンやミネラルを補うことも必要でしょう。
そして自律神経のバランスを保つ(自律神経がアンバランスになると食欲も落ちる)ことも重要です。睡眠不足にならない(短時間の昼寝も取れるのであれば必要)、適度な運動をすること、脱水症状にならないように水分補給をまめにして熱中症を防ぐとともに、暑さに慣れることも必要(エアコンの使い方を適切に)ですね。そして笑いが多い生活(免疫を司るNK細胞が活性化し、免疫力が高まる)でしょう。
実際に体調不良の原因に、免疫力の低下は関係あるのかとよく聞かれますが、じつは免疫力の低下はすごく関係しています。先ほどの話にもありましたが、自律神経のバランスと免疫機構が関連しています(自律神経がアンバランスになると免疫力が低下します)。不規則な食生活や運動不足など、夏場ではエアコンの冷え過ぎた状態から急に暑いところに出ることによるストレスから免疫力が低下傾向になります。
また、免疫力のなかで最も大事なのは、腸内免疫。身体のなかで唯一無菌ではないところが口から肛門まで、あとは無菌。その無菌のところにいろんな細菌が入ってきます。そこで腸内免疫が働きかけて身体を守っている。腸内免疫がダメになると体調不良の原因となる。夏風邪の代表であるエンテロウイルス(腸)やアデノウイルス(ノド)を起因とした風邪などが流行することが多いためイメージされるのではないでしょうか。
今回の調査で最も免疫力アップに効果がありそうとされた「プラズマ乳酸菌」は、従来の乳酸菌と違い、個々の免疫細胞を活性化するのではなく、ウイルスと戦う免疫細胞すべてを呼び起こす司令塔を活性化させるとても重要な役割を担っています。
従来の乳酸菌はB細胞にT細胞、NK細胞にインターフェロンといった病原体を攻撃する免疫細胞をそれぞれ個々に活性化していますが、プラズマ乳酸菌は、プラズマサイトイド樹状細胞という司令塔を活性化させ、ウイルスと戦う免疫細胞すべてを呼び起こします。また、細胞中でウイルスの増殖や拡散を防ぐ重要なウイルス防御物質として注目を浴びているビペリン遺伝子の発現を上昇させることが、食品としては世界で初めて確認されました。