■脱OS時代到来へ
常に最新のWindowsを利用できる環境を提供するWindows 10が今秋、「Windows 10 Fall Creators Update」を実施する。様々な新機能が発表されたが驚いたのはモバイル分野でのその“潔さ”だ。iOSやAndroidユーザーのことも考えた利便性が随所に見られ、ユーザーにとっては「そうそう、それ欲しかった」という機能が追加される。
例えば、「Windows Timeline」はユーザーがそれまでに、どのようなアプリを使い、どんなファイルを開き、どのサイトを閲覧していたのかという情報をさかのぼって参照でき、必要に応じて、これまでに行ってきた作業にすぐに戻ることができるという機能だ。そして、この機能はWindows PC本体のみでなく、iOSやAndroidといったスマートフォンにも対応している。たとえば、会社のパソコンで閲覧していたWebページを中断し、移動中にスマホで見たり、作成中の文書を他のパソコンで継続して編集するといったこともできる。
Windowsに連携するデバイスを登録する。AndroidやiOSにも対応
なかでも興味深いのが「Cloud-powered Clipboard」と呼ばれる機能。これはまさに筆者個人が常々不満に思っていたことを解消してくれるすごく期待している機能だ。どんな機能なのかというと、Windowsパソコン、Androidスマートフォン、iOSデバイスの間で、クリップボードを使い、文章や写真、地図のリンクなどを受け渡すことができるのだ。
これまで目的地などを検索したとき、地図のリンクを自分のスマートフォンにメールで送り、スマートフォンの地図アプリで参照するといった使い方をしていたが、そういった手間がなくなり、よりシームレスに情報をやり取りできるようになるわけだ。これは地味だがすごくありがたい。
複数のデバイス間でクラウドを経由することでクリップボードが利用できる。クラウドが空気のようにもっと身近になっていく。
Buildの基調講演でもマイクロソフトは「Windows PCs Love All Your Devices」というメッセージを強調していた。同社はスマホ向けのOfficeアプリにも積極的に取り組んでいるが、PCを中心として、iPhoneやAndroidといったスマホとの連携を強化する姿勢は非常に現実的で戦略的だと思う。今後はiOSでもAndroidでもWindowsでも、OSの違いによる不便さはだんだんと解消され、そこでうごくアプリケーションの重要性がますます高まっていくのだろう。